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【銀行預金のしくみ】 ペイオフ解禁は自己責任の解禁

  いくつかある銀行業のビジネスモデルのうち、預金者から預金を受入れてそれを企業に貸し出して利ざやを得る、いわゆる間接金融業務はその中心といえます。しかしながら、2016年1月に日本銀行によって採用されたマイナス金利政策は、この銀行業の中核のビジネスモデルに大きな影響を与えています。超低金利の市場環境から、貸出金利が低下しても、資金調達にあたる預金金利をマイナスにはできないからです。

 特に、地方銀行の苦境が報じられています。日銀によれば、地銀の貸出約定金利は今年2月に0.999%と初めて1%を割り込みました。このこともあって、株式を上場している地銀80行・グループの2018年3月期決算では、その6割が前年度比で減益となったとのことです。

 だからといって、今すぐに一部の地銀が経営破たんを起こす可能性があるというわけでは当然にありませんが、この超低金利の市場環境が近いうちに解消される見込みともいえない状況ですから、ここで銀行預金のペイオフについて復習しておくことはそれなりに意義があるといえましょう。

 銀行預金のペイオフは2005年4月に全面解禁されました。ペイオフとは、預金者が預金保険制度の加盟金融機関に預金をすると、預金者と金融機関と預金保険機構の間で自動的に保険契約が成立します。万一、取扱金融機関が破たんしても、預金者は保険金支払方式(ペイオフ方式)と資金援助方式のいずれかによって保護されるといった仕組みです。

 どちらが選択されても、以下に説明する預金保険の範囲は変わりません。預金保険機関の対象となる金融機関と預金等は次表のとおりです。

■預金保険制度の対象となる金融機関・ならない金融機関
対象となる金融機関 対象とならない金融機関
銀行(日本国内に本店のあるもの)、 信用金庫、信用組合、労働金庫、 信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会 左記の金融機関の海外支店、 外国銀行の日本支店、 政府系金融機関、保険会社、証券会社、農林中央金庫、農協、漁協 等

■預金保険制度の対象となる商品・ならない商品
対象となる商品 対象とならない商品
預金(当座預金、普通預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金、定期預金、 別段預金)、 定期積金 等 外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、 金融債、投資信託 等

 保護の対象となる範囲ですが、決済用預金(当座預金、無利息型普通預金等)は預入金額にかかわらず、全額が保護され、これ以外の預金は、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等が保護されます。

 ここで注意が必要なのは「名寄せ」についてです。預金保険の対象は、今述べたように1金融機関における預金者1人の対象預金の総額ですが、1金融機関の“同一の預金者が保有している預金を寄せてきてその総額を算出すること”を名寄せといいます。この名寄せに関する情報は、通常は取引銀行から提供されることはありませんから、つまり自己責任で確認することが必要ということです。

※:2017年3月29日「貸出約定金利の推移(2017年2月分)」日本銀行金融機構局


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