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【食を楽しむ⑨】こころも体もほっとするお茶の世界


夏は麦茶、冬はこたつに入って、日本茶を急須で湯呑みに注ぎ…、そんな光景が一昔前の日本では当たり前でした。特に日本茶は良く飲まれる飲み物の代表であり、各家庭の常備品でもあったはず。ところが近年のコーヒーブームやスムージーといった多種多様な飲み物の出現で、各家庭のお茶を飲む習慣も様変わりしてきたように思います。「コーヒー党で普段はお茶をあまり飲まない」という人もいるかもしれませんが、これを読めば、またお茶が飲みたくなるかも!?


お茶といっても日本茶、紅茶、中国茶、ハーブティーとさまざま

お茶は、大別すると日本茶(不発酵茶)、紅茶(発酵茶)、中国茶(半発酵茶)、の3種類。最近では別枠としてハーブティーも人気です。今回は、お茶ごとに、体に働く嬉しい作用や美味しいお茶の入れ方をご紹介します。

1.日本茶

香り高い日本茶は、日本を代表する文化の1つといっても過言ではありません。今や海外で “Japanese green tea” として人気を誇り、流行最先端のNYに日本茶専門のお店がオープンするほど。最近では、日本茶をよく飲む人には認知障害が少ない、といった研究発表もあり、日本茶の魅力を国民が再認識する場面も。お茶屋さんでの日本茶購入者も増加!といったニュースも手伝って、密かに日本茶ブーム到来の兆しありです。

どんな種類がある? 〜身近なのは煎茶!〜

もっともポピュラーかつ、よく飲まれている日本茶は「煎茶」でしょう。煎茶は緑茶を代表するお茶で、茶葉を蒸し、揉んで、乾燥させたものです。他に日本茶には「玉露」、「かぶせ茶」、「玉緑茶」、「抹茶」、「玄米茶」、「ほうじ茶」、「茎茶」などがあります。

美味しい日本茶の入れ方

①湯を80度に冷ます
煎茶に適した温度は沸騰したお湯よりも低めの80度前後。高級な煎茶ほど温度は低めがおすすめです。玉露だとさらに低く、約50度を目安に。日本茶には、うま味成分(アミノ酸)と渋味成分(カテキン)が含まれており、アミノ酸は50度以上で、カテキンは80度以上で溶け出すと言われています。うま味、渋味のバランスをベストに保つ、茶葉にあった適温で抽出するのがポイントです。

②蓋をして2分ほど蒸らす
しっかり茶葉の量を計量し、急須に入れ、お湯を注いだらうま味成分が出るまで蓋をして蒸らすのを忘れずに。湯呑みに注ぐ時は、濃さが均一になるよう少しずつ注ぎ分けます(数人分を注ぐ時)。最後の1滴まで絞りきるのも美味しさを逃さないコツです。

日本茶の健康作用

美容と健康にいいとされている日本茶。下記に挙げるだけでも、体にいいさまざまな作用が。なかでも、緑茶に含まれるカテキンが、薬効性抜群なのです。最近では高齢者の方に嬉しい効果も続々と発表されるなど、日本茶のもつパワーに注目が注がれています。

  • ■ビタミン豊富で美容効果が大きい
    日本茶にはビタミンA・C・Eが豊富です。
  • ■血糖値の上昇を抑える
    カテキンには血糖値の上昇を抑える作用があると言われています。
  • ■タンニンで胃腸を健やかに保つ
    古来より日本では緑茶を胃腸薬として用いてきた経緯があります。
  • ■菌作用で口臭・虫歯を予防する
    タンニンには殺菌作用があります。
  • ■がんを抑制・予防する可能性も
    近年の研究発表で多く示唆されています。ポリフェノールやカテキン、豊富なビタミン類ががん予防や抑制を促してくれると言われています。
  • ■動脈硬化や脳卒中の予防に役立つ
    善玉のコレストロールが体内に増加することで、このような予防効果があるとの発表もあります。

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2.紅茶

最近の飲食店やカフェでは、紅茶も1種類だけではなく、何種類かの茶葉、またはオリジナルブレンドの茶葉をメニューに取り扱うお店も増えてきています。紅茶は、ミルクやフルーツと混ぜたり、スパイスと共に煮出したり…飲み方もさまざまに楽しめるのが特徴的です。茶葉と食材との組み合わせも色々楽しんでみてはいかがでしょうか。

どんな種類がある? 〜飲みやすいのはダージリン〜

一般的に良く知られている茶葉は「アッサム」、「セイロン」、「ニルギリ」、世界三大紅茶の「ダージリン」、「ウバ」、「キーマン」でしょう。なかでもクセがなく誰もが飲みやすく、そして安価で手に入りやすいのが「ダージリン」です。

美味しい紅茶の入れ方

①汲み立ての沸騰した熱いお湯で
紅茶は、軟水で空気をよく含んだ汲み立てがベスト。つまり蛇口から出る水道水が一番空気を含んでいて紅茶を入れるには適していると言われています。浄水機能のついた水道水であればなおベスト。沸騰したお湯(100度ぐらい)を茶葉の入ったポットに向かって高い位置から注ぐのもポイント。茶葉がお湯のなかで対流し、成分がしっかりと抽出できるためです。

②ジャンピングの鎮まりが合図! ポットのなかで対流させつつ、ふたをして、約3分蒸らします(ティーバッグの場合は1分ほど)。茶葉が上下するジャンピングという動作が静まった頃が飲み時の目安です。透明のティーポットを使用するとその様子がよく見えて、蒸らし時間も眺めて楽しめますね。

紅茶の健康作用

スイーツのお供や食後の口直しに飲む紅茶。あまり健康を意識して飲まれることはありませんが、実は、体に嬉しい効果がたくさんあります。

  • ■リラックス効果が大きい
    香りからでるアルファ波や紅茶に含まれるテアニンにリラックス効果があると言われています。
  • ■カフェインが疲労回復や消化促進に役立つ
    カフェインには他にも利尿効果やストレス解消作用もあります。
  • ■ポリフェノールががんを抑制する
    日本茶同様、ポリフェノールががんの抑制に効果があるといわれています。
  • ■生活習慣病予防にも!
    紅茶カテキンや紅茶フラボノイドには血糖値上昇の抑制や抗酸化作用の働きがあることが分かっており、メタボリックシンドローム、高血圧などの予防に役立つとされています。
  • ■美容成分たっぷりで美肌に
    紅茶フラボノイドが活性酸素を除去して、肌つやアップに貢献します。他にハイドロキノンという美白成分も紅茶には含まれています。

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3.中国茶

中華料理の波及とともに、中国茶の認知度も急激にアップしました。最近では、黒烏龍茶がもたらしたイメージ効果は絶大と言えるかもしれません。世間一般に中国茶のその効果の奥深さが認知されたのは、広告展開があったからといわれます。「食事と一緒に飲めば、脂肪吸収を抑えてカロリーオフ!」といった中国茶=脂肪分解、という体への作用は、こうした企業戦略から広く知られることとなりました。実際、脂っこい中華料理と中国茶の相性は抜群です。また、中国では、古来より薬として飲まれ、茶葉の種類も実に豊富。茶葉によって、香りの芳醇具合や味も全く異なるので、利き茶をするのも面白いですよ。

どんな種類がある? 〜定番はやっぱり烏龍茶〜

中国茶は数百種類あるとも言われ、発酵度によって、緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶の6つに大別、黒茶に近づくほど発酵度が高くなります。私達が身近な「烏龍茶」は、青茶に分類され、他に、「鉄観音」、「凍頂烏龍」、「黄金桂」などがあります。脂肪分解度の高い中国茶で有名な「プーアール茶」は、黒茶に分類。

美味しい中国茶の入れ方

①茶壺は温めておく
中国茶は専用の茶器セットで入れるのが最も美味しく、また風情も楽しめるのでおすすめですが、紅茶や煎茶を入れるポットや急須でも大丈夫。必ず事前に湯通しして温めておきましょう。ちなみに、中国茶専用の容器は茶壺になります。お湯の温度は、緑茶は75〜85度ぐらい。黒茶は熱湯を。

②注いで蓋をしたらその上から熱湯を!
茶壺に勢いよくお湯を注ぎ、対流を起こしたら蓋をして、上から熱湯をかけます。外側からも温め、温度を下げないことがポイント! そして、1分ほどたったら、人数分に煎茶同様、濃さが均等になるよう注ぎ分け、1滴残らず抽出します。

中国茶の健康作用

古くから薬として愛飲されてきた中国茶の奥深さは言わずと知れたことでしょう。主成分はビタミン、ミネラル、カフェイン、アミノ酸、ポリフェノールなど。日本茶や紅茶などでご紹介した効果に加えて、下記などがあります。また、茶葉によって、体にもたらされる効果の特徴も少しずつ異なるため、自分の体や口に合った茶葉を見つけてみましょう。

  • ■整腸作用、便秘解消に効果あり
    なかでも黒茶がおすすめです。血液中の脂肪酸増加を抑えてくれて消化を促進してくれる効果もあります。
  • ■冷え性に!
    烏龍茶や鉄観音がおすすめです。もちろんホットで。
  • ■殺菌効果で風邪を予防する
    殺菌効果もあるお茶でうがいをするというケアもあるほどで、風邪の症状が和らぐと言われています。熱っぽい時は発汗作用のあるプーアール茶が、喉の痛みがある時は菊花茶などがおすすめです。

4.まとめ

日本茶、紅茶、中国茶とご紹介しましたが、それぞれ製法が異なるとはいえ、元は、生命力豊かな同じ植物です。それが、光合成をして植物が元気に生きていくための大事な葉をいただいているわけですから、その効果が計り知れないのもなんとなく頷けます。それぞれのお茶で香りや味が異なり、種類豊富に生活シーンを彩ってくれるのもお茶の魅力。色々組み合わせを変えて楽しんでみてはいかがでしょう?また、最近では、お茶を食材の1つとして、様々な料理やスイーツにミックスして楽しむ人も増えてきています。今後、ますます、お茶の可能性が幅広くなっていくかもしれませんね。

田中恵子(フードライター)
編集プロダクション、WEB制作会社を経てフリーランスに。フード、ファッション、介護などの媒体で、取材・執筆・編集を担当。食べることが大好きで、フード系の取材は多い月で30件にも及ぶ。最近では横浜の農を普及する「はまふぅどコンシェルジュ」を取得。月刊誌「カフェ&レストラン」(旭屋出版社)では、野菜がおいしいお店を紹介する『VegiLove』を連載中。
http://www.asahiya-jp.com/cafe_res/

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