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【食を楽しむ⑧】飲む点滴、甘酒の魅力


「飲む点滴」ともいわれ、栄養豊富な甘酒。正月に神社で参拝客に配られたり、販売しているのを飲んで体を温めたり、日本伝統の飲み物として、私達にとっても馴染み深いかと思います。そんな甘酒ですが、ただの甘味飲料に留まりません。近年、健康や美容にとても良いとされ、改めて注目を浴びている食材のひとつです。そこで今回は、甘酒の魅力に迫ります!


奥が深い甘酒

『甘酒』と一口にいっても、製造方法や原材料の違いがあれば、それに合わせて栄養価も異なります。体に良いからといって、過剰にとりすぎると太る原因にもなるのでご注意を!
甘酒の魅力を再発見しつつ、生活に取り入れるためのヒントを色々ご紹介しましょう。
1.甘酒の選び方

製法の違いを知る

甘酒には二通りの製法があることをご存知ですか? 一つは、酒粕を溶かして砂糖を加えて作るパターン。もう一つは米と米麹を原料に発酵して作るパターンです。後者は炊いた米に米麹を混ぜて一定の温度管理のもと、発酵させてドロドロの液状にします。米を発酵させることで、素材自体が持つ本来の甘みで飲むことができる甘酒と、砂糖を加えて作る前者では、同じ甘酒といっても、内容が違うことをご理解いただけるでしょう。
また、酒粕を溶かすほうは、微量ながらアルコール分を含みます。一方後者はアルコールなしの発酵食品。子どもも飲めるうえ、豊富な酵素を含む発酵食品なので、より健康的です。ただし、自宅でイチから手作りする場合、発酵させて作るのは、かなりの時間を要するため(発酵させるのですから)、トライする人は少ないはずです。
また、市販の甘酒でも商品によって製法が違うので、ぜひ裏に記載されている食品表示をチェックしてみてください。
そこで注目すべきは「原材料名」の部分。商品によって「米、米麹」と記載されたもの、「米」や「玄米」だけ記載のもの、「砂糖、酒粕、米麹、食塩、酸味料」と色々と記載されているもの、様々です。右の写真のように、シンプルな材料であれば、玄米を発酵させて麹を作り、それをさらに発酵させて作られた甘酒だということがわかります。一方、「酒粕、砂糖」という表記のみであれば、それは発酵させたものではなく、日本酒を作る際にとれた固形物(酒粕)を溶かし、そこに砂糖を加えて作った甘酒、となります。どちらの商品にもパッケージには「甘酒」と書かれてあるので、選ぶ際は、原材料名を見て判断するとよいでしょう。

素材にこだわる

そこで、次のステップ。同じ甘酒でも製法が違えば、原材料も違うことが分かりました。酒粕で作る甘酒よりも、発酵食品であり砂糖不使用の甘酒を選ぶほうが健康的であることは、上記で理解いただけたと思います。そして、プラスアルファ、健康のためにさらに甘酒の質をグレードアップさせたい方は、「有機玄米」のみを原料としている甘酒をおすすめします。有機=オーガニック。つまり、農薬を使われていない米が原材料であること。そして、白米より玄米のほうが栄養価も高く、おすすめです。ちなみに、農薬は糠や胚芽の部分にたまりやすいので、有機でなければ、白米を原料としているほうがいい、といった考えもあり、どこまでこだわるか、はその人次第です。

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2.栄養価は?

点滴と同じ栄養

甘酒が飲む点滴といわれる所以は、そこに含まれる栄養素が点滴とほぼ同じだからです。ビタミンB1、B2、B6、葉酸、食物繊維、オリゴ糖、システイン、アルギニン、グルタミン、そして大量のブドウ糖を含んでいます。
甘酒というと、ホットで飲む、冬の飲み物のイメージが強いですが、夏バテ防止にも効果テキメン。よく、夏ごろ疲労回復にビタミンB1を多く含む豚肉を…なんていう話もよく聞きますが、甘酒もビタミンが豊富! 熱中症や夏バテ、体調を崩して食欲がない時にもおすすめです。
また、発酵食品である麹を原材料にしている甘酒であれば、麹には100種類以上の酵素が含まれています。それらは、細胞の生成や修復をスムーズに促す働きもあるので、美肌やアンチエイジングにも期待ができます。

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3.甘酒を使った簡単レシピ

甘酒を使って作るとっても簡単なレシピをご紹介します。料理が苦手な人もこれならトライできる! と思えるような、生活にパッと取り入れられるものばかりを集めてみました。

レシピ① 【豆乳甘酒】

鍋に、発酵タイプの甘酒(私は玄米甘酒を使用)約大さじ1と豆乳200ccを混ぜ、火にかけます(甘さの加減は各自調節)。沸騰直前で火をとめ、ホットでいただきます。豆乳でなく牛乳でもOK。冷やして飲む場合は、火にかけずそのまま混ぜればOK。まろやかな口当たりで、甘酒の甘さが引き立ちます。

レシピ② 【甘酒醤油ドレッシング】

醤油、甘酒、オリーブオイル(サラダ油や菜種油でも可)を適量混ぜれば、少し甘目の醤油ドレッシングが完成。酸味を加えたければ、そこにお酢を少々。または、醤油をだし醤油に変えても美味しいです。
醤油×甘酒の組み合わせは、色々な料理に応用がききます。素揚げした野菜や天ぷらにかけても美味しいですよ。醤油と甘酒は発酵食品同志なので相性も抜群!

レシピ③ 【お菓子作りの砂糖代わりに】

お菓子作りは、大量の砂糖を使いますよね? それを全部じゃないにしても半分ぐらい甘酒に変えてみる。砂糖を甘酒に、と置き換えてみると、案外何にでも甘酒が使えることがわかります。砂糖を使うより健康的です。ただし、砂糖と甘酒を同量で見立てた時、砂糖ほどの甘さが甘酒には出せないので、加減は必要です。こちらの写真は、パウンドケーキに玄米甘酒を、生クリームに甘酒(こちらは白米の甘酒、すりタイプを使用)を少々加えてホイップしたものです。優しい甘さでほっこりします。

4.まとめ

甘酒というと飲むもの、というイメージが強いですが、今回ご紹介したように、発酵食品の1つ、調味料の1つとして考えると、様々な料理に使えることがわかります。また、甘酒が持つ豊富な栄養素を考えると、もっと身近に取り入れていきたい食品、と感じていただけたのではないでしょうか?
日本人がこよなく愛する米を原材料とし、発酵させた日本独自の健康フード。それでいて、自然な甘さがあるから、甘いものが食べたい時の腹の足しにもなります。これを読んで、改めて甘酒が持つ魅力を再発見いただけたのであれば嬉しいです。

田中恵子(フードライター)
編集プロダクション、WEB制作会社を経てフリーランスに。フード、ファッション、介護などの媒体で、取材・執筆・編集を担当。食べることが大好きで、フード系の取材は多い月で30件にも及ぶ。最近では横浜の農を普及する「はまふぅどコンシェルジュ」を取得。月刊誌「カフェ&レストラン」(旭屋出版社)では、野菜がおいしいお店を紹介する『VegiLove』を連載中。
http://www.asahiya-jp.com/cafe_res/

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