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地域活動のために余暇を活用する

よく、女性は地域に溶け込みやすいけれど、男性、特に中高齢の男性は、自分の築きあげてきた社会からなかなか抜け出せずに、地域の人たちとも打ち解けられない、といいます。 実際にはどうなのでしょうか。

東京健康生きがいづくりアドバイザー協議会     
 健康いきがいづくりアドバイザー 松田 誠一
 

中高齢の男性は本当に地域活動に消極的か?

地域活動に対する実態を、内閣府のアンケート調査と、ある中高齢のご夫婦の会話を例に考えます。

※夫  61歳(半年前に退職したばかり。現在、無職)・妻  58歳(専業主婦)

1.中高齢者(男性)の生き方・考え方
2.中高齢者が地域活動に参加するためには何が必要?
3.地域活動のいろいろ

1.中高齢者(男性)の生き方・考え方

データが示す現実1  【あなたはこの1年間で社会活動等に参加しましたか?】


60歳以上の男性の社会活動の参加の有無
【画像】高齢者の地域活動の参加の有無
内閣府「令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」より

グラフは60歳以上の高齢者を対象とした調査によるものですが、1年間社会活動に参加しなかった高齢者が4割以上もいますね。数字上では、社会活動に関して男性のほうが女性より消極的かどうかはわかりませんが、前回の「健康づくりに余暇を活用する」を見ても、あまり積極的とは言えないようですね。
 
うちの夫だけがそうなのかと思っていたら、高齢男性の4割以上が、地域活動には参加したことがないのね。会社に行っていたころは、毎日忙しく、日曜日でも仕事の人たちとゴルフに行ったりと、何かと活動的な人かと思っていたけれど、退職してからは、ずっと家にこもりがち。地域行事どころか、ご近所の方との会話さえ無いのではないかしら。
 


データが示す現実2  【社会のために貢献したいですか?】


60歳以上の男性の社会への貢献意識
【画像】定年を迎えた男性のこれからの生き方・考え方
内閣府「社会意識に関する世論調査(令和4年10月調査)」より

実際に活動に参加することに決して積極的とは言えませんが、気持ちの上では「社会のために役立ちたい」と考えている高齢男性が7割近くにもなります。
 
つまり、地域でいうと、これからもずっとこの地域で暮らしていくわけだし、その地域の役に立ちたいという気持ちはあるんだけどね。本音は地域行事にも参加したいんだよ。
 


データが示す現実3  【では、どうして社会活動に参加しないのですか?】


60歳以上の男性が社会活動に参加したいと思わない理由(複数回答)
【画像】NPOやボランティア、地域の活動に参加しない理由
内閣府「令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」より

気持ちの上では地域活動に参加したいのに、じゃあ、なぜ行動に移せないのでしょうか。内閣府の調査をみると「人と付き合うのがおっくうだから」が最も多く、次いで「健康・体力に自信がないから」「同好の友人・仲間がいないから」がきていますね。他に、「どの様な活動が行われているか知らない」「家庭の事情(病院、家事、仕事)があるから」というのも理由のひとつに挙がっています。
 
ほらね、退職すると時間はあるけど、人づきあいは面倒だし体力もない。第一どこでどんな活動を行っているか、全然わからないじゃないか。
 
まるで子どもみたいな言い訳ね。本当は「やりたくない」のよ。「時間がない」って言うけど、あなたはずっとテレビばかり見ているじゃない? きっかけや情報だって、その気になればインターネットでも区役所の掲示板でも、調べる方法はいくらでもあるじゃない?
 
テレビだって、さまざまな知識を得るひとつの手段だよ。今まで仕事ばかりで趣味らしい趣味もなかったからね。だから、テレビを見るといろんなことが発見できて、新鮮なんだよ。
 
でも、これからまだまだ人生は長いのに、それでいいの?もっとあなたらしい時間の使い方があるんじゃない?
 


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②年金に対する源泉徴収について

データが示す現実4  【社会活動を始めるために必要なものは何?】


60歳以上の男性が考える
「社会活動を行うために必要だと思うこと」 (複数回答)
【画像】地域のために奉仕的な活動を行うにあたって最も必要な条件
内閣府「令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」より

地域活動に参加するために必要なものとして、「一緒にする仲間」と「経済的なゆとり」を挙げる人が半数以上もいらっしゃいますね。次いで「時間的なゆとり」、「施設や場所」が挙げられていますが、いかがですか?
 
人づきあいは億劫なのに一緒に活動する仲間は必要なんだね。矛盾しているようにも思えるけど、確かに、誰か誘ってくれる仲間がいると心強いよね。ただし、費用や時間にゆとりがなくなるのはごめんだね。これまで散々そうして仕事をしてきたのだから。
 
確かにそうかもしれないけれど、本当に必要なのはあなた自身の「やる気」じゃないかしら。そんなふうに人に頼ってばかりじゃなくて、「自分がするんだ」という気持ちだと思うわ。それに、あなたはまだ、これまでの会社にこだわりがあるようだけど、会社の肩書抜きで、いまの自分をどんなふうに他人にわかってもらうの? 仕事を辞めても、人生は終わりじゃないのだから、今度は地域のなかで生きがいを見つけてもいいんじゃない? 私は、あなたに社会の中で自立してほしいと願っているわ。
 


ここで、ご自分自身チェックしてみましょう
 ■ 退職後の自分を何となく「惨めだ」と感じてしまう。
 ■ 会社の肩書きにこだわりがある。
 ■ 以前の会社仲間としか付き合いができない。
 ■ すぐに批判したり、否定的な結論を出してしまう。
1つでも当てはまる方は、こんなことに努力してみましょう
  • いま、自分が何をしたいか、在職中にはやりたくてもできなかったことはないか、考えてみる。
  • いま、自分を必要としている場所があることを認識する。
  • 誘いは断らずに、参加できるよう努めてみる。
  • すぐに否定せずに、まず肯定的に考えてみる。


地域はあなたを求めています。
中高齢だから、また、団塊世代だから、地域活動することが必要なのではありません。地域社会の再生が求められているいま、そこに「志」をもった人たちのアイディアと工夫、実践できる力が求められているのです。その力はこれまでの経験の中で培われてきたものです。何もせずに、昨今問題になっている自分の存在を主張するだけ人にはなってほしくないと思っています。
また、若い世代の人たちから学ぶことも多いものです。若い世代の人たちの気持ちや考えを聞き取り、彼らが活躍できる社会につないでいくのが、中高齢者の使命だと思います。会社だけではなく、社会においてもいい見本になりたいものです。
 
妻である皆様へ 夫である皆様へ
ご主人のことを心配しているのはよくわかりますが、もう少し余裕をもって放っておきなさい。手を掛けすぎです。ガミガミ干渉する対象が子どもから夫に移り、手綱を手元に引いたまま、外へ行けと言っているように私には見えます。

  • 夫の呟きを最後まで聴いてみる。
    まだまだこの先あるのだから、遮らずに最後まで、夫の呟きを黙って聴き続けてみてはどうでしょう。全部聴いてあげたら、きっとあなたの心配にも耳を傾けるはずです。
  • 軌道に載せたら、上手く操縦を。
    心の中がスッキリすれば、重いと思っていた腰がきっとあがるでしょう。男はやる気になったらスゴイのです。うるさいくらいに外であったことを話し出しますから、その時は聞いている振りして、お得意の相槌をうってあげるだけでいいのです。私の知る限り、仕事を辞めると趣味に磨きをかけながら社会との関わりを次第に深めていく人もいます。また、多くの場合は、やんわりと買い物を頼んだり、誘ったりと妻の方が上手に操縦してきたように思います。とどのつまりは女性の掌の上。手綱をゆるめて長くして、上手く操縦しましょう。
何かの団体に入るも良し、創るも良し。いずれにしても、家の扉を開けて外に出れば、現実に視界は変わるもので、何か手に入れることができます。そこで、活きた余暇にするための先輩たちからの知恵を紹介します。

  • 退職後、2年間はブラブラしてもいい。
  • 興味ある催し、イベントや講座に出てみよう。講座は市の広報に載っている。
    例えば、インターネットで、「あなた自身の興味 イベント 講座」で検索してみる。
     例:「音楽 イベント 講座」
  • 自己PRのツールを持とう。話のきっかけは「名刺」表の自分の名前に題をつける。
     例:「素浪人・探検家・・・」
    裏に「趣味・好きなこと・好きなタレント・参加したイベント名や講座名・出身小中学校名・・・」
  • 人間関係づくりにスキルをもとう。
    人の話を聞くからスタート。聞いたら自分の基準で良し悪しと評価せずに、「ナルホド、楽しそうだね」と返す。(人は自分の話を肯定して聞いてくれた人に好感や興味をもつ)
    家に帰ったら、名刺交換した人に楽しかったことを添えてメールや手紙を出そう。


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3.地域活動のいろいろ
中高齢の方の積極参加を呼びかける活動をいくつか紹介します。どのような取組みがどのような効果をあげているか調べて発見してください。

地域の活性化につながる交流を

世代ごとに役割を自覚して協働し続けることが実現できている地域は、「活性している地域」と言えます。可能な限り受け入れて、一緒に分担して進める道を相談できる立場でいたいものです。町内会や自治会などから、お誘いがあったら何かの縁ですから、ぜひ参加してみましょう。
東京ボランティア・市民活動センター
東京ボランティア・市民活動センター運営 NPO法人検索サイト「E法人」
地域活性化総合情報サイト(内閣府)
NPO法人エコ・コミュニケーションセンター(ECOM)

コミュニティ・ビジネスで町元気の再生を

地域資源の活用、無駄・ゴミと思われたものに価値をつけたりするのは心がときめく創造の仕事です。これはおもしろい。面白くて楽しいのは元気の原点です。コミュニティの課題解決を使命感だけのボランティアに依るのではなく、ビジネス手法(PDCA、目標管理、需要と供給、マネージメント、収支バランス、透明な運営など)で持続的(長く、世代交代を果たしながら)にしていくことが、町元気の本質的な再生につながります。ローリスク、生きがいハイリターンが中高齢のコミュニティ・ビジネスとして脚光を浴びる日も近いでしょう。
コミュニティビジネスとは(経済産業局)
NPO法人コミュニティビジネス・サポートセンター 事例「まちづくり」ほか
NPO シニアSOHO普及サロン・三鷹

会社時代の専門性を集めて、地域に還元

NPO法人新現役ネット
NPOむさしの経営支援パートナーズ
NPO神田雑学大学


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