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【余暇活用術のすすめ】健康づくりに余暇を活用する

平均寿命の延びとともに定年後、ますます長くなる老後をどのように過ごすかは、すでに退職された方にとっても、これから定年を迎える方にとっても重要な問題です。特に健康問題はすべての人に共通の最重要課題ではないでしょうか。余暇を漫然と過ごしていたのでは、健康はつくれません。地域の活動を利用する、仲間とともに何かを始めてみるなど、今日からでも健康づくりに向けて一歩を踏み出してみませんか。

財団法人健康・生きがい開発財団評議員
神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会会長 吉田 隆幸 
 

第2の人生を健康で生きがいある生活にするために

1.健康寿命を目指す
2.生活環境の変化と健康づくり
3.健康づくりのいろいろ(神奈川県の事例)

1.健康寿命を目指す

長くなる老後



今や、日本は女性は世界第1位、男性は世界第2位の長寿国となり、2022年の平均寿命は新型コロナウイルス感染症の影響で前年より下がりましたが、男性81.05歳、女性は87.09歳の高い数値となっています。10年前と比較すると、男性は1.11歳、女性は0.68歳延びています。 しかし、ここで重要なのは、「何歳まで生きられるか」ということより、「どれくらい健康で生きられるか」ということです。


健康寿命とは(WHO)

健康寿命とは、心身ともに健康で過ごせる期間がどのくらいかを示すものです。単に肉体的に何歳まで生きられるかを示した「寿命」よりも重要な意味を持つと言われています。
  65歳時の平均余命*1
(2019年現在)
65歳時の無障害平均余命*2
(2019年現在)
男性 19.83歳 11.10歳
女性 24.63歳 12.57歳
*1 65歳のときに生存している人の平均余命を示しています。
*2 65歳のときに生存している人が心身ともに健康で生きられる平均余命を示しています。
(厚生労働省「健康日本21(第三次)推進専門委員会資料(令和5年5月)」より)


マッカーサー研究所(アメリカ)では「生き生きと歳を重ねること」のために次の3要素をあげています。
 ①健康を維持すること(病気を防ぐ)
 ②心身の機能を高く保つこと
 ③積極的に社会とかかわること

「老い」を考える

◆ベティ・フリーダン(1921〜2006年・アメリカの老年学・心理学者)
「老い」は「病気」ではない。また、「老い」と「衰え」を同一視するのは誤りである。歳を重ねることは若さの喪失ではなく、より新たな自由のもとにおける進歩、発展であり、希望に満ちた冒険である。
◆ダニエル・レビンソン(1920〜1994年・アメリカの老年学・心理学者)
老年期は衰えのときであるだけではなく、同時に更に成長する好機でもある。学問や芸術において60〜80歳代で最高の仕事をしている例として、ピカソ(芸術家)、イエーツ(詩人)、ヴェルディ(作曲家)、ライト(建築家)、フロイト(心理学者)など限りない。
◆ヘルマン・ヘッセ(1877〜1962年・ドイツのノーベル賞作家)
歳をとるということは、体力が衰え、生気を失ってゆくことであるが、同時にその年齢独特の価値観や魅力や知恵をもつことである。


元気な高齢者が増えている

人間誰しも、肉体的な衰えは確実にやってきます。しかし、精神面ではますます元気で生き生きと活躍している高齢者が増えています。
戦後、高齢者の肉体年齢は10歳くらい若くなっていると言われていますが、それだけではなく、定年後の長い老後を積極的に仕事や趣味、レクリエーション、ボランティアに取り組もうとする人が増えています。

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2.生活環境の変化と健康づくり

わが国の高齢者の環境

65歳以上世帯の平均的な生活環境
※夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦一組の無職世帯

世帯主の年齢は・・・76.2歳(5年前より0.2歳上昇)
年収は・・・・・・365万円(5年前より1万円↑)
貯蓄は・・・・・・2,519万円(5年前より32万円↑)
持家率は・・・93.4%(5年前より2.3%↓)

(総務省「令和4年年家計調査」より)


65歳以上の人は余暇をどうしている?

「余暇」は、精神的・肉体的疲労を癒し、活力を生むための時間です。
一般的に老後は余暇が長くなりますが、この長い余暇をどのように自分のために使うかが「生き生き」と生きるうえで大切な問題となります。

余暇の平均時間



ライフスタイルの変化(神奈川県の場合)


神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会の65歳以上を対象とした平成20年調査によれば、「何歳まで生きたいか」との質問に4割以上の人が80歳以上と回答しています。また、同じ調査で定年後のセカンドライフの理想として「生涯現役」と回答した人が44%で最も高い率を示しました。
「生涯現役」であるためには、健康であることが必要不可欠であり、最も関心の高い項目には「健康」が上げられています。

あなたの関心が高いことは(3つまで複数回答)
1位 2位 3位 4位 5位 6位
健康
(33.6%)
家族
(20.3%)
趣味
(17.8%)
社会貢献
(14.0%)
旅行
(8.0%)
お金
(6.3%)
(神奈川県健康生きがいづくりアドバイザー協議会平成20年調査より)

このように、長い老後を、健康でアクティブに楽しもうとする人の割合が高くなっていることがわかります。特に経済的に恵まれているといわれる団塊の世代は、生活を楽しむための仕事を適度に行い、趣味やレクリエーション、社会貢献に取り組む「欲張り世代」となっています。
とは言っても、現実には1日に4時間程度、ただ何となくテレビ視聴等に費やしている人が多いようです。この時間をより関心の高い「健康」へ向けての活動の時間にかえてみるのもよいのではないでしょうか。

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3.健康づくりのいろいろ(神奈川県の事例)

○横浜市加賀原地域ケアプラザの取り組み

地域ケアプラザは地域密着型施設で、市民の誰もが住み慣れた街で安心して暮らせる地域づくりの拠点になっています。地域の福祉・保健活動を支援し、人々の身近な場所でサービスを総合的に提供し、健康づくりの場となっています。


高齢者の健康づくりを手助け

自主事業

・とまり木サロン(食事会を中心としたゲーム・カラオケなどの仲間づくりを支援)
・友和クラブ(手芸・囲碁・将棋などの趣味活動を中心の仲間づくりを支援)
・健康生きがい講座(健康・生きがいづくりを中心に老後の生活にアドバイス)
・ボランティア講座(ボランティア活動のきっかけづくりと自分再発見の機会を提供)  など

サークル活動

・はまゆう(1人暮らしの高齢者を中心に配食サービスを行う)
・つづき探検隊(ウォーキンググループ)
・ネットカフェ加賀原(喫茶サロンでミニ講座や音楽会など最新情報を交換) など

活動のポイント
参加者がそれぞれの活動を行うとともに、他の参加者との交流を通じて活動を盛り上げています。特に健康面では、やさしい体操、気功、ダンス、ウォーキング等、メニューが豊富で多くの人が参加しています。


○ADL対応型高齢者体操

県の福祉プラザを中心に、地域の高齢者を対象としてADL(日常生活動作能力:横たわる、起き上がる、座る、立つ、歩くなど普段の生活で体を動かせる能力)の回復・維持・向上を目的とした体操を行います。 ひとつのシリーズ終了後も、自主的に続けるグループも増えています。

活動のポイント
神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会の会員がインストラクターとして指導し、介護予 防にも役立っています。シリーズの最後には体力測定を行い、効果を実感できます。

地域による「高齢者の健康づくり」への取り組みとして、神奈川県の事例を紹介しました。
高齢者に健康と生きがいを提供するこうした活動は財団法人健康・生きがい開発財団のアドバイザーを通して全国的に展開されています。

参考資料:「全国健康生きがいづくりアドバイザー協議会」

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