- 健康問題は待ったなし
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50歳代では更年期障害や内臓機能の低下など、体調の不良を訴える人が多くなり、大きな病気に発展することもあります。これまで自分の健康を過信していた人も、事前のチェックが大事です。
健康問題が深刻に
■生活習慣病の発症や更年期症状が現実に
40歳代後半から引き続き、身体的な機能が徐々に低下し、体力に不安を感じて自らの健康に関心が高まりますが、これまでの生活習慣が要因となって、高血圧症、高脂血症や糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病を発症・発病したり、それらが危惧される状況が生じることがだんだん多くなります。
また、女性は更年期前後のホルモンバランスの変化によって体調不良、更年期障害が起こりやすくなり、職場や家庭で周囲の理解や対応が必要になるケースも生じます。早い人は40歳代後半から症状が出る人もいますが、およそ10年の個人差があるといわれています。
男性は女性ほど顕著に現れることはないようですが、女性よりおよそ10年遅く、更年期障害が現れる人もいます。
■健康診断の機会を逃さない
職場や市区町村等での健康診断(メタボリックシンドローム診断)を定期的に受け、運動や食事、喫煙などの生活習慣の見直しを図りましょう。高血圧や生活習慣病と診断されたときは早い段階で治療を受けることが大切です。
■健康設計を自分のものにする
50歳代は自らの心身の健康、親の介護などを通して、健康がいかに重要であるかを再認識させられる人も多い、「健康問題への気づき」の時期です。その上で、定年後の生活、さらにその先を見据えて、自らの生活・健康設計を行う必要を感じることでしょう。
50代はまだ人生の半ば。これからの人生を考えて、前向きに対処したいものです。
■こころと体の障害もある
こころの面では初老期うつ病(注1)、更年期うつ病(注2)などの精神障害が出る人がいます。体では脳血管疾患などによる身体障害が増え始めます。
通院では歯周病治療、入院ではがんや心臓病などの生活習慣病が増え、男女とも主な死亡原因の第1位にがんがあります。
(注1)初老期うつ病:老化が原因と言われ、うつ状態が45歳〜65歳ぐらいで起こる。治療は薬剤投与で行われる。
(注2)更年期うつ病:閉経期にうつ状態が出る。ホルモンの変化が原因とされる。治療は薬剤投与で行われる。
健康で過ごすために
■定期的な運動習慣を持とう
- ウォーキングなどで脂肪を燃焼する。
- エレベータではなく階段を利用する。
- 休日やアフター5にスポーツ・運動をする。
- |運動不足度のチェック10|
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- 短い距離でもよく自動車を利用する。
- 近い階でも必ずエレベーターを利用する。
- 外に出ることがおっくう。休日には家でゴロゴロする。
- 何かをするとき、「どっこいしょ」と言う。
- 靴を履くとき、必ず長い靴べらを使う。
- 寝た姿勢から手を突かずに起き上がれない。
- 歩くとき、とぼとぼ歩きが多い。
- 階段を上ったり急いで歩いたりすると息が切れる。
- 人混みで人にぶつかりそうになる、またはぶつかる。
- 最近、体型が気になる。
<評価>4つ以上当てはまる人は運動不足です。
■栄養のバランスに気をつけ、生活習慣病に注意する
- 自分の腹囲径と標準体重(BMI(注3))を知る。
- エネルギー(カロリー)の摂り過ぎ、肥満に気をつける。
- 1日3食、食事ごとにバランスよく食べる。不足しがちな栄養は、栄養補助食品で補うことも。
- ゆっくりよく噛んで食べる。
(注3)BMI(Body Mass Index) :肥満度の判定方法の一つで、体脂肪率とも相関している。体重(kg)÷身長(m)2で求められる。標準値は22.0。
■休養とストレス解消に気を配る
- 十分な睡眠をとる。
- スポーツや趣味でストレスに強くなる。
- 睡眠導入剤に頼らないようにする。
■自分のこころを知る
- 気軽に相談できる人を見つける。
- 相談できる医療機関やカウンセラーをつくる。
- 「気分が落ち込む」「夜眠れない」などの症状が続くときは早めに専門家に相談する。
■健康診断は必ずうける
- メタボリックシンドロームの人は体重を減らし歩く習慣をつける。
- 健康診断で、「要再診」「要治療」の結果が出たら、必ず受診する。
- 家族そろってかかる「かかりつけ医」をもつようにする。
- 病気と上手につきあう。
■歯周病をチェックし、予防する。
- 定期的に歯ぐきをチェックする。
- 糖尿病が原因となって歯周病になることもあるので、歯周病の人は糖尿病のチェックをする。
- デンタルフロスや歯間ブラシを使い口内の清潔に気をつける。
- 「かかりつけ歯科医」で定期的に検診を受ける。
■たばこの体への影響を知る
- 生活習慣病が心配な年齢です。禁煙する。
- マナーを守り、職場や家庭での受動喫煙を防ぐ。
50歳代は特に血液サラサラが元気の決め手
■血液ドロドロはメタボリックシンドロームの落とし子
血液ドロドロは、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の人によく見られる現象で、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールなどの値が高くなることにより血栓ができ、血液が円滑に流れなくなっています。つまり、血液ドロドロはメタボリックシンドロームの落とし子といえます。
■こんな人が血液ドロドロの人
血液が血管をスムーズに流れにくい、血液ドロドロの人は生活習慣病やそれに伴う深刻な身体障害に陥ることがないように生活すべてに見直しが必要ですが、次のような人は特に気をつけましょう。
- たばこを吸う
- ストレスが多い
- 食べ過ぎることが多い
- 運動不足
- 甘いものが好き、間食が多い
- 血糖値が高い
■どうして血液ドロドロになるの?
血液ドロドロには3つの原因があります。
- 赤血球の変形
血液中の脂肪分や糖分が多いと、赤血球が変形して赤血球同士がくっつきやすくなり、血液を流れにくくします。
- 血小板のかたまり
血圧が高くなると、血管が傷つきやすくなるため、傷を治す役割の血小板がどん どん集まります。この血小板のかたまりが血栓となり、血管をふさぎます。
- 白血球
白血球はタバコや過労やストレスなどによって粘着性が高まり、血液を流れにく くします。
■「血液サラサラ生活」
血液ドロドロの人はメタボリックシンドロームと判定される人といって過言ではありません。「血液サラサラ生活」のポイントは運動・食事・ストレス解消です。
運動
体の脂肪を燃やし、体が活性するように、歩くことや、マイペースの軽い運動をしましょう。
食事
次の点に気をつけましょう。
- 1日1食は魚を食べる。特に赤身や青背の魚を食べる。
- 野菜は1日3回食べる、特に緑や赤い野菜を食べる。
- 「腹八分」の食事で食べ過ぎない。
- 脂肪や油の多い料理を控える。
- 魚や肉、豆料理などのタンパク質の主菜は必ず摂り、ご飯は控えめに。
- 中性脂肪値を上げるお酒は控えめに。
- 減塩を心がけ酢や香辛料を料理に生かす。
ストレス解消
ストレス解消も「血液サラサラ生活」に大いに関係します。ストレス解消法は、趣味を持つ、周囲とコミュニケーションを深める、ボランティア活動をするなど、人さまざまですが、義務からではなく、したいという「意識」が大切です。