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【債券の運用】 債券運用の留意点

 債券は安全な投資対象というイメージがあります。元利払いを国債であれば国が補償していますし、社債であれば名だたる大企業がこれを約束しています。私たちは元利払いの安全性をみて「債券なら安心」と思いがちです。あるいはクーポンレート(額面に対する毎年の利息の割合、表面利率ともいう)の高低のみで債券の価値を判断しがちです。しかしながら、実は安全そうに見える債券にもリスクが潜んでいるのです。

 現在は超低金利の時代です。このような超低金利の状況はいつまで続くのでしょうか。そろそろ金利上昇でしょうか。この答えは将来とはいつなのかによって変わります。むこう1〜2週間であれば、現状の日本経済(2018年6月現在)を考慮すると、大きな変動はないでしょう。しかしながら、むこう数年ということになれば、日本銀行のマイナス金利政策が終了し、現在よりも大幅に金利が上昇しているかもしれません。

 金利が上昇する経済環境においては、債券のクーポンレートも上昇します。すなわち、金利が上昇した時に発行される債券の利払い額は上昇するのです。このことは債券のパフォーマンスに好影響を与えるように思われがちですが、実は金利上昇は債券投資にとっては逆風となるのです。

 簡単な例で考えましょう。額面が100円で利息が年あたり5%の債券を考えましょう。額面の5%ですから毎年5円の利息が入ってくる債券です。1年後に世の中の金利が低下するとどうなるでしょうか。その時に発行される債券の利息は世の中の金利低下を受けて下がります。3%になると考えましょう。100円に対して3円の利息しか入りません。

 100円で5円の利息が入る債券と、100円で3円の利息しか入らない債券のどちらが魅力的かは一目瞭然です。投資家は5%の利払いの債券を好んで購入します。しかし5%の債券は1年前に発行されたものであり、世の中に出回っている数には限りがあります。そこで、5%の債券を求めてオークションが始まり、価格は上昇します。どこまで上昇するかといえば、5円の利息収入が債券の価格に対して3%になる水準(167円)まで債券の価格は上昇します。5円は167円の3%だからです。5%の債券をこの時点で売却すれば67円の儲けになります。

 金利が上昇すればどうでしょう。景気が回復して金利が10%になったとしましょう。誰も5%の債券には見向きもしません。どんどん売られてしまいます。どこまで売られるかといえば5円の利払いが債券価格に対して10%の収益率となる水準(50円)です。5円は50円の10%になります。債券価格が100円から50円に値下がりしてしまい、50円の損失が出てしまうことになるのです。



 これらの例は極端に単純化していますので、実際の状況とは異なります。しかし、金利の動きが債券の元本価格に与える影響の大きさを理解することはできるでしょう。金利の変動次第では、債券は決して安全な金融商品とはいえないのです。

 債券を満期まで持ちきって、元本の償還を受けるのであれば、金利変動による債券価格の変動はあまり気にする必要はありません。金利の動向に自信が持てない場合には、満期まで保有することを前提とすれば債券投資も安心して行えます。

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