食生活が偏りがちな昨今、サプリメントに頼る人が増えているように思います。サプリメントを常用している人、サプリメントを飲んでいるから大丈夫と思っている人、サプリメントがなければ不安という人・・・あなたもそんな一人ではありませんか? それは何のためでしょうか?
あんな小さい一粒で、本当にあなたの期待は叶えられるものか? そもそも、サプリメントは薬なのか食品なのか? サプリメントについて少し知識を広げてみませんか?
サプリメントは加工食品
サプリメント(suplement)は英語で「補うもの」の意味です。厚生労働省と消費者庁では、“一般に広く健康の保持・増進に役立つ食品として販売・利用されるもの全般を指し、形状は加工食品、飲料、サプリメント等全てを含む」と定義しています(薬事法上の定義ではありません)。さらに、「健康の保持増進効果」があるかどうかが、確認されているものもあれば、そうでないものもあります”とコメントをしています。確かに、サプリメントにはハッキリとした効果などが書かれていません。これは薬事法で医薬品を連想させるような効果・効能を表示することが厳しく制限されているためです。しかし、ビタミンやミネラルの量が一定の基準をみたしているサプリメントには、栄養機能食品として表示を承認しています※。つまり、サプリメントは法律で定められている医薬品とは違って、効果を保証するものではなく、あくまで食品(加工食品)なのです。
サプリメントは元々、特定の栄養素を集中的に摂ることを目的として誕生しました。食事だけでは補えきれないような栄養素を補給するために開発されています。 上手に使って健康増進に役立てましょう。
※ 2009年9月から栄養機能食品の取り扱いは消費者庁に移行しました。
特定の栄養成分だけを集中摂取
例えば乳酸菌のサプリメントと同じ量の乳酸菌を全てヨーグルトで補おうとすると、ヨーグルトを1升ビン1本以上も食べなければならないケースもあります。現実問題としてそれだけの量のヨーグルトを食べることは出来ません。こういったシーンにサプリメントが活躍するのです。
- ○余分なエネルギー(カロリー)や脂肪を摂らずに必要な栄養成分だけをとれる
- ○マルチビタミン、マルチミネラルなど多種類の栄養素を組み合わせたものがある
- ○特に病気でなくても使える
- ○長期保存ができる
- ○無味無臭で、食品の好き嫌いに関わらずに栄養成分を摂取できる
- ○食事内容に関係なく必要な栄養成分を得られる
成分表示を確認する
原材料、栄養成分(含有量)、販売元及び連絡先、保存方法、賞味期限(包材のみ)のほか、アレルギー表示(表示が必要な原材料を使用している場合)などを確かめましょう。
このほか、特定の栄養素のサプリメントに「健康増進に関わる栄養機能の表示」があります。この栄養機能食品の表示について、カルシウムを例にすると、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」となっています。表示できる栄養素は一部のビタミン・ミネラル類ですが、文末が「栄養素です」で終わっていることが目安になります。これは健康増進法で認められたものです。
問い合わせ窓口の有無
GMPマーク
つまり、「製造品質が一定のレベルである」と保証するものなのです。
◆表示してある保管方法を守る
保存方法はサプリメントの包材に明記してあります。たいていは高温多湿や直射日光を避けるような内容です。これは、空気に触れると成分が変質、損失してしまうものがあるからです。さらに直射日光を受けると成分の劣化や崩壊を起こして本来の品質を維持できなくなります。このためにサプリメントは茶色や白色の濃い色のボトル、あるいは中身が見えない包材で日光を遮断しているのです。さらに密封容器で湿気や空気から製品を守っています。
このことから、販売時のパッケージから家庭にある空ビンや持ち運び用のケースに移し替えるときには注意が必要です。サプリメントが透けて見えるような容器は直射日光を浴びやすいので、棚やカバンの奥にフタをきっちりとして保管するようにしましょう。
◆賞味期限の範囲で消費する
購入後の品質を維持するには、賞味期限を守ることが重要です。賞味期限とは『20**、*年*月』とラベルの裏に書かれているものです。賞味期限内であれば、一定の品質が保証されています。ただし、賞味期限は「未開封の状態で表示してある保管方法で保存した場合」です。開封後は、記載のある目安量に従って連続使用をした期間が賞味期限に相当します。賞味期限を過ぎた場合、品質は時間と共に劣化していきます。もったいないからとそのまま長期保存をしてはいけません。早く使い切ってしまうか、思い切って処分してしまいましょう。未開封・開封後を問わず、賞味期限を越えても使いきれないようなサプリメントは買わないようにします。まとめ買いはかえって損です。
まずは健康状態をチェック
そこで、まずは食事内容の偏りなどを見直してみましょう。不安がある場合は、底上げするためにマルチビタミンやマルチミネラル、ビタミンB群など栄養素が複合的に含まれているものがいいでしょう。また、これらの栄養素は食事と共に使うことで、本来の働きを発揮しやすくなります。
また、病名はつかないけれど体の不調が気になる場合があります。自分の健康状態に的確にあったものを選ぶのは難しいことです。医師や薬剤師、管理栄養士、もしくはサプリメントに関する資格をもった専門家に相談しましょう。メーカーや販売業者によっては専門家による相談窓口を設けていますので、利用するのも1つの方法です。
サプリメントは万能ではない
1か月経過したら使用前後の体調を比較
体の不調が解消していれば必要なサプリメント、特に変化がなければ不要なサプリメント、逆に不調を感じていれば、合っていないサプリメントです。吐き気やめまい、下痢、湿疹などの不調を軽く見てはいけません。このような場合は即座に中止します。
陽転反応に注意を
治療に悪影響があることも
このほか、注意したい成分に「大豆イソフラボン」があります。この成分は「特定保健用食品としての、大豆イソフラボンの安全な1日上乗せ摂取量の上限値を30mg」と上限値が設定されています。サプリメントについては評価されていませんが、この値を参考に過剰な使用とならないようにします。
このほか、鉄やカルシウムについては、必要性を感じるときには実は治療が必要であったというケースが少なくありません。まずは医療機関で受診し、病気が隠れていないかの確認が必要です。
大阪大学保健センター、フィットネスクラブ、国立循環器病センター集団検診部を経て、インターネットなどで病気の予備軍の人達への栄養指導を専門に20年あまり従事。特にダイエット、生活習慣病、メタボ対策、健康づくりなどを中心に行う。サプリメントの専門家としても幅広く活動し、マスコミ取材も多数。
著書に『免疫力を上げるコツ』『免疫力を高めるとっておきメニュー』『がん予防に役立つ食事・運動・生活習慣』『40歳からの健康ダイエット』『花粉症からあなたを守る食事学』『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい 食事と生活習慣』など。