トイレに行ったばかりなのに、また行きたくなる。くしゃみをしただけなのに、尿が漏れてしまう。突然の尿意のために、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう・・・、実はこんな悩みをもっている人は少なくありません。
排尿にかかわることなので、人知れず悩んで、なかには行動範囲がどんどんせばまってしまうという人もいます。また、年のせいとあきらめてしまっている人もいます。
でも、決してあきらめてはいけません。正しい診断を受けて、それに応じた対処をすれば快方に向かう人がずっと多いのです。
まずは正しい知識をもちましょう。
頻尿って?
体格によって違いがあるものの、通常、膀胱の正常といわれる容量は200mlから300mlくらいです。排尿の回数は昼間で、1日4〜7回(就寝後の夜間は0回。あっても1回)。成人なら1日に800ml〜1500mlの尿を出しています。
排尿の回数が多いことを頻尿といいます。水分を必要以上にとっているというなら別ですが、そうでなければ、起きているときで1日に8回以上、寝ているときに1回以上トイレに行くようであれば頻尿だといえるでしょう。
排尿の回数が多いことを頻尿といいます。水分を必要以上にとっているというなら別ですが、そうでなければ、起きているときで1日に8回以上、寝ているときに1回以上トイレに行くようであれば頻尿だといえるでしょう。
頻尿の原因は?
頻尿の原因はさまざまです。
まず、考えられるのは急性膀胱炎や尿道炎のような細菌などの感染症です。膀胱炎は女性に多く見られます。
そのほかの原因としては、膀胱付近まで下降した尿管結石、膀胱がん、前立腺肥大症、膀胱周辺の腫瘍、膀胱容量の減少(膀胱結核など)、排尿中枢、脊髄、膀胱支配神経が侵される神経因性膀胱といった病気や、また、病名ではありませんが、いろいろな理由で膀胱が過敏に働いてしまう過活動膀胱、精神的な要因やストレスなどによる神経性頻尿などが考えられます。
なお、年をとると内臓機能や膀胱機能が低下し頻尿が起こりやすくなりますが、それに加えて内服薬の副作用や糖尿病、前立腺肥大症など持病が関係するなど複数の原因が重なっていることも少なくありません。
まず、考えられるのは急性膀胱炎や尿道炎のような細菌などの感染症です。膀胱炎は女性に多く見られます。
そのほかの原因としては、膀胱付近まで下降した尿管結石、膀胱がん、前立腺肥大症、膀胱周辺の腫瘍、膀胱容量の減少(膀胱結核など)、排尿中枢、脊髄、膀胱支配神経が侵される神経因性膀胱といった病気や、また、病名ではありませんが、いろいろな理由で膀胱が過敏に働いてしまう過活動膀胱、精神的な要因やストレスなどによる神経性頻尿などが考えられます。
なお、年をとると内臓機能や膀胱機能が低下し頻尿が起こりやすくなりますが、それに加えて内服薬の副作用や糖尿病、前立腺肥大症など持病が関係するなど複数の原因が重なっていることも少なくありません。
頻尿の対策は?
それぞれの原因によって異なります。病気が原因になっている場合は、その治療を行います。急性膀胱炎の場合は、適切な薬を飲むことで比較的容易に治りますが、しっかり治療することが大切です。ただし、膀胱炎のなかには間質性膀胱炎という治りづらいものもありますが、これもきちんと診断を受けて適切な治療を受けることです。
*詳しくは【今月の特集(2012.8)】の「膀胱炎」のページをご覧ください。
神経性頻尿の場合、膀胱の過敏性をやわらげる薬を使用し、同時に排尿感覚をあける練習をすることで治まってくることが多いようです。
また、高齢者の場合でも、専門医に相談すれば、頻尿を増悪させる病気など他の要因の考慮と合わせ、必要に応じて薬物療法や膀胱訓練などが行われます。
*詳しくは【今月の特集(2012.8)】の「膀胱炎」のページをご覧ください。
神経性頻尿の場合、膀胱の過敏性をやわらげる薬を使用し、同時に排尿感覚をあける練習をすることで治まってくることが多いようです。
また、高齢者の場合でも、専門医に相談すれば、頻尿を増悪させる病気など他の要因の考慮と合わせ、必要に応じて薬物療法や膀胱訓練などが行われます。
尿が漏れる、失禁してしまうといっても、いくつかのタイプに分かれます。タイプによって原因や対策も違います。
切迫性尿失禁
■現象・症状
急に尿意をもよおし、トイレに行きたいと思っているうちに、あるいは下着をおろそうとしているうちにがまんできずに、尿が漏れてしまうものです。たいていは頻尿を伴います。
■原因
膀胱の容量が少なく、尿が少したまると勝手に膀胱が過敏に働いてしまったり(過活動膀胱)、脳血管障害などの神経系の障害、膀胱炎などの感染症、加齢、男性では前立腺肥大症などが考えられます。
■対策
膀胱炎や前立腺肥大症など病気が原因となっている場合は、その治療を行います。そのほかの場合は、原因によっても異なりますが、抗コリン剤などの内服、骨盤底筋体操、膀胱訓練(図)などを行います。
【骨盤底筋体操】
①基本体操:10回×1セットを1日3〜5セット
仰向けに横になり、両足を肩幅程度に開き、両膝を立てます。
尿道・肛門・膣をぎゅっと締め、3秒間キープします(慣れてきたら徐々に時間を延ばします)。
②毎日の生活のなかで
①基本体操:10回×1セットを1日3〜5セット
仰向けに横になり、両足を肩幅程度に開き、両膝を立てます。
尿道・肛門・膣をぎゅっと締め、3秒間キープします(慣れてきたら徐々に時間を延ばします)。
②毎日の生活のなかで
- テーブルを支えにして
足を肩幅に開き、手のひらを机の上において背中を伸ばし①と同じ動作を行います。 - いすにすわって
いすに深く座り、背中を背もたれにつけて伸ばし、足は肩幅に開いて①と同じ動作を行います。
【膀胱訓練】
トイレに行くことを少しだけ、我慢するものです。最初は5分くらい我慢し、徐々に10分、15分と我慢する時間を延ばしていきます。
※膀胱訓練は、感染症や前立腺症、神経の病気が原因の尿のトラブルには効果がなかったり、逆に症状を悪化させることもあります。医師の診断を受け、医師の指導のもとで行ってください。
トイレに行くことを少しだけ、我慢するものです。最初は5分くらい我慢し、徐々に10分、15分と我慢する時間を延ばしていきます。
※膀胱訓練は、感染症や前立腺症、神経の病気が原因の尿のトラブルには効果がなかったり、逆に症状を悪化させることもあります。医師の診断を受け、医師の指導のもとで行ってください。
腹圧性尿失禁
■現象・症状
せきやくしゃみ、なにかでお腹に力をいれたとき、急に立ち上がったときなどに尿が漏れてしまうものです。
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方を併せもつ混合型タイプも少なくありません。
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方を併せもつ混合型タイプも少なくありません。
■原因
女性に圧倒的に多く、膀胱や泌尿器を支える括約筋や骨盤底筋の力が弱まるために起こるものです。括約筋や骨盤底筋が弱まるのは、妊娠や出産、肥満、加齢による女性ホルモンの分泌の低下などが原因となります。
■対策
軽いうちなら骨盤底筋体操を毎日続けることで改善します。それでも改善しない場合、β‐作動薬などの薬物療法や電気刺激療法を併用します。重症の際には、手術を行うこともあります。
溢流性尿失禁
■現象・症状
膀胱に尿がたまっているのに、尿が出にくく、漏れてしまうものです。強い尿意がないのに、排尿のあとに残尿感があり、トイレに行っても尿がチョロチョロとしか出ません。
■原因
前立腺肥大症、子宮がんや直腸がんの影響、糖尿病の影響などが考えられます。男性に多く、女性ではかなり稀です。
■対策
対策は原因になっている病気の治療、薬物療法、残尿を取り除く治療などを行います。
最近、話題になっている過活動膀胱。実は多くの人が悩まされています。
過活動膀胱ってなに?
膀胱が勝手に縮んだり、過敏に働くために尿がまだ十分たまっていないうちに、我慢できないような尿意が起こるものです。ただし、膀胱炎などの感染症や腫瘍、結石などの病気は除きます。また、腹圧性尿失禁もこれに含まれません。
■現象・症状
①急にがまんできないほどの尿意をもよおす。(尿意切迫感)
②頻尿:昼間に8回以上(昼間頻尿)、夜間に1回以上(夜間頻尿)トイレに行く。
③急に尿意をもよおし、トイレまでがまんできずに漏れてしまうことがある。(切迫性尿失禁)
②頻尿:昼間に8回以上(昼間頻尿)、夜間に1回以上(夜間頻尿)トイレに行く。
③急に尿意をもよおし、トイレまでがまんできずに漏れてしまうことがある。(切迫性尿失禁)
原因は?
■神経系のトラブル
脳卒中などの脳血管障害、脊髄の損傷や障害などの後遺症で膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に問題が起きるためです。
■骨盤底筋のゆるみ
女性に多い膀胱や泌尿器を支える骨盤底筋の力が弱まるために起こります。 男性の場合、前立腺肥大症が原因となって過活動膀胱になることがあります。
- 原因不明
加齢なども関係しますが、はっきりとはわからない場合も少なくありません。
対策は?
- 薬物療法 抗コリン剤などの内服薬が一般的です。
- 骨盤底筋体操
- 膀胱訓練
- 前立腺肥大症の場合はその治療を行います。
■適度な水分をとろう
尿漏れが気になるからといって、水分をとらなすぎるのも体によくありません。逆に、水分のとりすぎも問題です。1日1000〜1500mlを目安にします。
■便秘を防ぐ
便が大腸にたまると、骨盤底筋に負担をかけます。食物繊維の多い食事、適度な運動などで便秘を解消しましょう。
■肥満を防ぐ
肥満は腹圧性尿失禁の原因の一つです。適切なカロリー摂取、運動で太らないように心がけましょう。
■下半身を冷やさない
体が冷えると頻尿や尿漏れの症状が悪化します。冬場はもちろん、夏場でもクーラー対策などをして下半身を冷やさない工夫を。
■アルコールやカフェインのとりすぎに注意
アルコールや、コーヒー、日本茶などのカフェイン類は利尿効果があるのでとりすぎに注意します。
■陰部を清潔に
最近はすぐれた効果のある尿とりパッドが出ています。それらを上手に利用し、パッドをこまめに替えて陰部を清潔に保ちます。