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【元気な暮らし】解放されたい!つらい肩こり

重い、痛い、だるい・・・多くの人が悩まされている肩こり。厚生労働省の「国民生活基礎調査」(令和4年)では、体に出る症状として、肩こりは男女ともに腰痛に次いで2位、女性では1位という結果になっています。(グラフ
多くの人が悩まされている肩こりですが、単なる疲れによるものだと思っていたら、きちんとした治療が必要な病気だったという場合も。正しい知識を持って、しつこい肩こりとはさよならをしたいものです。

原因はさまざま—強い痛みや手足のしびれなどは要注意

1.肩こりの原因
2.一般的な肩こりと診療が必要な肩こり
3.自分でできる肩こり解消法と予防法
4.肩こりの治療法

1.肩こりの原因

人間の体はもともと肩こりが起こりやすくできている

人間の体を支えている背骨(医学的には脊柱)は、首からお尻まで30以上の「椎骨(ついこつ)」が積み重なってできています。体を横からみると、頸椎と腰椎はやや前に出て、胸椎は少し後ろに湾曲し、ゆるやかなS字カーブを描いているように見えます。これは、重力の抵抗が大きい2足歩行をしている人間の脊柱への負担を分散し、軽くするためで「生理的湾曲」ともよばれています。
しかし、人間の頭の重さは体重の約12.5%程度、5〜8kgといわれます。また、首の骨である頸椎は、胸や腰の骨に比べ、前後左右に動く範囲(可動域)が大きいことが特徴となっています。重い頭を広い範囲で動かさねばならず、知らず知らずのうちに頸椎やその周りの僧帽筋などの筋肉に負担がかかっています。
また、肩の関節やその周りの筋肉も腕という重いものをぶらさげ、さまざまな動きをしなければならないという点で大きな負担のかかる場所です。そういった場所に長時間、負担がかかりすぎるとS字カーブのバランスもくずれ、筋肉の疲れがこりとなって自覚されるようになります。つまり、肩こりは2足歩行をする人間の宿命のようなものなのです。
肩こりの原因


体型や加齢、姿勢や生活習慣などが要因

■体型・筋肉量
体型や筋肉量なども肩こりに関わります。なで肩や筋肉量の少ない人、首が細くきゃしゃな人は肩こりが起こりやすくなります。

■加齢
加齢も大きな原因のひとつです。年齢とともに骨や筋肉、関節が弱まるために、姿勢が保てなくなったり、関節などの故障を起こすことから肩こりになります。

姿勢
日ごろから姿勢が悪く、S字カーブを保っていなかったり、長時間同じ姿勢を続けたり、極度の緊張やストレスにさらされていると、筋肉が緊張して血流が悪くなり、それが「こり」となります。

その他
冷えや運動不足、ホルモンのバランスのくずれなども原因となりますし、さらには、内臓など別の病気によって起こる肩こりもあります。

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2.一般的な肩こりと診療が必要な肩こり

運動や心がけなどで治る肩こり

ひと口に肩こりといっても、上記のように同じ姿勢をとっていたり、筋肉の緊張状態が続いていたことによる疲れが主な原因となる一般的な肩こりと、重症化し炎症を起こしていたり病気に関連している肩こりがあります。
一般的な肩こりは、運動やストレッチをしたり、姿勢を正すよう心がけたりすることで治すことができます。肩がこったと思ったら、その場で伸びを行ったり、その日のうちに体をほぐすことが重症化しないための方法です。

診療が必要な肩こり

単なる疲れによる肩こりだと思って、湿布を貼ってすませていたらさらに悪化したという例も少なくありません。病気に関連する肩こりには、整形外科の領域に入る脊柱や肩関節の病気のほかに、歯や内臓、精神的な病気、あるいはがんの転移なども含まれます。痛みが強い、手がしびれる、肩こり以外の症状があるといった場合には素人判断をせず、医療機関にかかってきちんとした診断を受けましょう。
病気に関連する肩こり
整形外科領域の病気
肩関節周囲炎 [かたかんせつしゅういえん](五十肩) 加齢が原因で肩関節の周囲が炎症を起こすもの。腕が上がらない、手が後ろに周らないなどの症状がある。急性期には冷やし、慢性期には徐々に動かすようにしていく。
胸郭出口症候群 [きょうかくでぐちしょうこうぐん] 鎖骨と肋骨のすき間が何らかの原因で狭くなって、血管や神経が圧迫されるもの。しびれや強い痛み、頭痛や吐き気などの症状が出ることもある。運動療法による治療が中心となる。
変形性頸椎症 [へんけいせいけいついしょう] 椎骨と椎骨の間のクッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)の水分が加齢によって失われ、椎骨が薄くなってトゲができ、周囲組織を圧迫する。痛みやしびれが起こる。
頸部椎間板ヘルニア [けいぶついかんばんへるにあ] 加齢のため、椎間板の水分量が減って弾力がなくなり、外側を覆う線維輪(せんいりん)の裂け目から、椎間板の中身である髄核(ずいかく)が出て神経を圧迫する。痛みやしびれの原因になりやすい。
後縦じん帯骨化症 [こうじゅうじんたいこっかしょう] 椎骨の連なりを補強するじん帯の一つ、後縦じん帯にカルシウムが付着して硬くなり(骨化)厚みを増して、脊髄や神経根を圧迫する。痛み、しびれ、筋力低下、運動障害などが起こる。
頸椎捻挫 [けいついねんざ] むち打ち症のこと。頸部への急激な衝撃のため、筋肉に損傷が起こって、痛みを感じる。
整形外科領域以外の病気
内臓の病気 肺結核や、心臓の病気、胃腸障害、肝臓障害などによるもの。
その他 歯の噛合わせ、眼の疲れ、精神的な疾患、がんの転移などによるもの。

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3.自分でできる肩こり解消法と予防法
正しい姿勢を保つ
悪い姿勢は肩こりの大敵です。日ごろから背骨の自然なS字カーブを意識して、立っているときも座っているときもできるだけ正しい姿勢を保つようにします。あごを引いて背筋を伸ばし、お腹をひっこめるよう意識しましょう。座って作業するときは、イスの高さの調節も大切です。ただ、正しい姿勢といっても、同じ姿勢を長時間とり続けないこと。時には動いたり軽いストレッチなどを取り入れるとよいでしょう。
温める
市販のホットパックを利用して、肩周辺を温めるのも効果があります。ホットパックがなくても、普通のタオルを温かいお湯でぬらしたり、水でぬらしてビニール袋に入れて、電子レンジで温めたホットタオルでも代用できます。
そのほか、使い捨てカイロ(布にくるむなどしてやけどに注意)を利用したり、ドライヤーで痛む部分を局所的に温めるといった方法もあります。
効果的な入浴法
肩こりを解消するためには、少しぬるめのお風呂に肩までつかり、20分くらいゆったりします。お風呂のなかで、肩を回したり、肩を上げ下げするなど軽いストレッチを加えるとさらに効果的です。
また、シャワーの水圧をあげて、肩にしばらく当てる、入浴剤で保温効果を高める、さらには、お風呂でゆったり温まったあとに、冷たいシャワーを肩にかけ、またお風呂で温まるということを数回繰り返す「温冷交代法」などもおすすめです。
ただし、心臓病などの持病がある人は全身浴や温冷交代法が体に負担がかかることがあるので医師に相談してから行ってください。
適度な運動やストレッチ
運動不足は血流を悪くし、筋肉疲労がたまります。また、筋力が弱まることで、正しい姿勢が保てなくなり、骨や関節に大きな負担をかけることになります。
激しい運動を行う必要はありませんが、習慣的に軽い運動を続けたり、ストレッチやシンプルな体操を毎日の生活のなかに取り入れたりすることが肩こりの解消につながります。

【肩こり体操をやってみましょう】
①背筋を伸ばして肩を上下させる。 ②円を描くようにゆっくり方を回す。
③両腕を上に伸ばし、後ろに振り下ろす。上にあげるときはできるだけ上に、下におろすときはできるだけ後ろに。 ④お腹の前で手を交差させ、その腕を開き、胸を張る。腕はできるだけ後ろに開く。
※それぞれ2〜3回くらいずつ、無理なく気持ちよくできる程度行いましょう。

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4.肩こりの治療法
原因によって、治療法は異なってきますが、主に次のような治療法があります。
病院で行う治療
安静 炎症を抑えるために安静を保ちます。時には、装具などを用いることも。
薬物療法 消炎鎮痛薬や筋弛緩剤、筋肉疲労回復のビタミン剤、消炎鎮痛の湿布薬、緊張をやわらげるための精神安定剤などが用いられることもあります。
神経ブロック療法 痛みが強い場合、神経に局部麻酔剤を注入します。
理学療法 機械を使って温めたり、けん引などを行います。
運動療法 体操や日常生活の指導などを行います。
民間療法
整体・カイロプラティック 手技によって体のズレを直し、体を正しい状態にもっていって症状をとることを目的としています。
鍼灸 東洋医学独特の「気」の考え方に基づき、鍼やお灸によってツボに刺激を与え、自然治癒力を高めようというものです。
マッサージ マッサージによって収縮した筋肉をほぐし、血流をよくしようというものです。

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