食中毒に気をつけるのは夏、と思い込んでいませんか?
なんと、「ノロウイルス」による食中毒は11月頃からが要注意、冬場に増えるのです。
ノロウイルスは、強力な感染力をもっています。
予防して、できるだけ感染を避けるのがいちばんです。
※国内・国内外不明の事例は除く。
厚生労働省「食中毒統計調査」より
2022年の患者数は約2,200人
2022年のノロウイルスによる食中毒は、事件数63件、患者数は2,175人(2021年と比較して、事件数9件減、患者数2,558名減)で、患者数で食中毒全体の6.5%を占めました(図2)。
そのうち、患者数が500名以上の事例は18件(868名)で、ノロウイルスに感染した調理従事者による2次感染でした。おおもとの1次感染は、汚染された食品が原因と推定されています。
月別発生状況をみると、2022年1月に18件(868名)、2022年3月に12件(367名)発生し、12月から翌年3月が発生のピークになる傾向があり、冬季に集中して発生しています(図3)。
※国内・国内外不明の事例は除く。
厚生労働省「食中毒統計調査2022年」より
厚生労働省「食中毒統計調査2022年」より
そのうち、患者数が500名以上の事例は18件(868名)で、ノロウイルスに感染した調理従事者による2次感染でした。おおもとの1次感染は、汚染された食品が原因と推定されています。
月別発生状況をみると、2022年1月に18件(868名)、2022年3月に12件(367名)発生し、12月から翌年3月が発生のピークになる傾向があり、冬季に集中して発生しています(図3)。
※国内・国内外不明の事例は除く。
厚生労働省「食中毒統計調査2022年」より
厚生労働省「食中毒統計調査2022年」より
おう吐と下痢が中心
おもな症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛で、あまり高い発熱はありません。感染から発症までの時間は24〜48時間で、症状の持続する時間も数日(平均1〜2日)で、もともと他の病気があったり、体力が低下していたりというようなことがなければ、重症になることはほとんどありません。
ただし、乳幼児や高齢者、また体力が弱っている人などでは、まれに、吐いたものを喉に詰まらせて窒息死することがありますから注意が必要です。
ただし、乳幼児や高齢者、また体力が弱っている人などでは、まれに、吐いたものを喉に詰まらせて窒息死することがありますから注意が必要です。
特効薬はない
このウイルスに効果のある抗ウイルス薬はありません。そのため、対症療法*が行われます。特に、乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こさないようできるだけ水分の補給をし、また、体力を消耗しないよう栄養の補給を行います。脱水症状がひどい場合は、病院で点滴をしてもらうなどの治療が必要になります。
下痢が長引く場合には下痢止めの投与をすることもありますが、病気の回復を遅らせることがあるので、使用しないことが望ましいとされています。
*対症療法:原因の根絶ではなく、表面的な症状の消失または緩和を目的とした治療。
下痢が長引く場合には下痢止めの投与をすることもありますが、病気の回復を遅らせることがあるので、使用しないことが望ましいとされています。
*対症療法:原因の根絶ではなく、表面的な症状の消失または緩和を目的とした治療。
食品の加熱と2次感染の防止の徹底
ノロウイルス感染症を防ぐには、過熱が必要な食品はしっかり加熱することと、2次感染を防ぐことといえます。加熱処理
食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。
2次感染を防ぐ
ノロウイルス感染症の場合、感染した人のおう吐物や下痢便にはノロウイルスが大量に含まれており、わずかな量のウイルスでも体内に入っただけで容易に感染しますから、これを防ぐことが肝要です。
手洗いをする
調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢やおう吐人の汚物処理やおむつ交換をおこなった後は必ず行います。石けん、流水による手洗いをしっかりと行うことが大切です。おう吐物や下痢便の処理の時では
使い捨てのエプロン、マスク、手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないように、雑巾、タオル等でおう吐物、下痢便を静かにしっかりとふき取ります。ふき取った雑巾、タオル等はビニール袋に入れて密閉して捨て、おう吐物や下痢便のあった場所は次亜塩素酸ナトリウム*1(濃度200ppm以上、塩素系漂白剤*2では200倍程度に薄める)で広めに消毒しておき、その後水拭きをします。
また、ノロウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがありますから、おう吐物などは乾燥しないうちに床などから速やかに処理し、十分に換気を行います。*1、次亜塩素酸ナトリウム:次亜塩素酸のナトリウム塩で次亜塩素酸ソーダとも呼ばれる。化学式はNaClO。強いアルカリ性で酸化作用、漂白作用、殺菌作用がある。
*2、塩素系漂白剤を使用するときは「使用上の注意」をよく確認し、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性がありますので、消毒後の拭き取りを十分に行います。
人を近付けない
おう吐物等の拭き取りの際に飛沫が発生します。吸い込むと感染してしまう恐れがあるので、少なくとも無防備の人を3m以上近付けないようにします。調理器具からの感染を防ぐ
ノロウイルスを失活化させるには次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の漂白剤)の使用や加熱があります。調理器具等は洗剤などで洗った後、塩素系の漂白剤で浸すように拭くことでウイルスを失活化できますが、まな板、包丁など調理器具、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
家族に感染者が出たら
上記の2次感染を防ぐ注意事項を守ることはもちろんですが、ノロウイルスは感染力が強く、冷蔵庫の取っ手、ドアノブ、カーテン、日用品などからもウイルスが検出されています。家族が感染した場合は、調理器具のほか手の触れる場所を塩素系漂白剤などで消毒します。
また、トイレの手拭きはペーパータオルなどを使用するなどして、タオル等の共用はしないようにします。感染している人がお風呂に入るときは、入浴は一番最後にし、風呂の湯につかる前にまずおしりをよく洗います。風呂の水は毎日換えて、浴槽、床、洗面器、いす等も清潔に掃除をします。
洗濯物では感染者の衣類とは分け、おう吐物や下痢便で汚れた衣類を洗うときは、マスクと手袋をして、バケツやたらいなどで水洗いをし、さらに塩素系消毒剤で消毒します。水洗いした所も塩素系消毒液で消毒します。洗濯機でほかのものと一緒に洗うと、ノロウイルスが洗濯槽内やほかの衣類にも付着してしまいます。
Q1
どのようの食品がノロウイルス中毒の原因になっていますか?A
ノロウイルス食中毒の調査結果によると、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも、約7割は原因食品が特定できていません。ウイルスに感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことによるケースも多いとされています。ノロウイルスに汚染された二枚貝が原因となっていることもありますが、ノロウイルスに汚染された二枚貝による食中毒は生や加熱不足のもので発生しており、十分に加熱すれば食べても問題はありません。