ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【元気な暮らし】 アレルギー疾患と花粉症

環境省の発表によると、今年のスギ・ヒノキ科花粉の飛散量は、東北及び関東地方では昨年と同じかやや少なく、東海・北陸から九州地方にかけては一部地域を除いて昨年より多いということです。毎年花粉症に悩まされている人にとっては、春は「希望の季節」とはいかないようです。花粉症はアレルギー疾患のひとつですが、そもそもアレルギーとは何なのか、その正体を知って、少しでも症状を軽く、また予防できる方法を見つけたいものです。

花粉症はアレルギー疾患のひとつ

花粉症は、花粉をアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)とするアレルギー性疾患です。

1.アレルギーって何?
2.花粉症を予防する

1.アレルギーって何?

アレルギーとアレルギー疾患

アレルギー(allergy)とは、「異常反応性」すなわち、私たちの体が薬や食品などのさまざまな刺激に対して異常に、敏感に反応している状態をいいます。
人間の体には免疫系という防御機能(外部からの異物を排除するための生体にとって不可欠な生理的反応)があり、細菌やウイルスなどの異物(抗原)が体内に入ってくると、体はそれに対抗する物質(抗体)をつくって、抗原を排除しようとします。
ところが、特定の抗原(細菌、花粉、動植物や薬物など)に対して、免疫反応が過剰に起きて有害な作用を及ぼすことがあります。このように、一部の人にのみ有害な反応が起こるアレルギー反応によって引き起こされる病気をアレルギー疾患とよんでいます。


アレルギー疾患の種類と症状

抗原のなかでも、特にアレルギー反応を引き起こしやすいものをアレルゲンとよんでいます。アレルギーの症状は、このアレルゲンの種類によってさまざまな症状が現れます。例えば、食物、薬物、室内のゴミやほこり(ハウスダスト=ペット類の毛やダニも含む)、花粉などのアレルゲンによって、じんましんや皮膚炎、ぜんそくなどのアレルギー疾患を起こします。アレルギーはその発生の過程により㈵型〜㈸型に分類されます。

アレルギーの分類
分類 反応型 疾患名 反応形態
㈵型 即時型 アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、じんましん・アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシー、花粉症 外部の抗原が体内に入ると、体内のIgEというタイプの抗体が結合し、即、反応を起こす。反応が全身に及ぶと血圧の低下によるショック状態となることもある。
㈼型 細胞障害型 自己免疫性溶血性貧血、血小板減少症、顆粒球減少症、新生児溶血性黄疸、B型・C型慢性肝炎、不適合輸血など IgG抗体が関与し、抗原を取り込んだ自己の細胞に結合し、それを認識した白血球が細胞を破壊した結果、細胞障害を引き起こす。
㈽型 アルサス型 血清病、過敏性肺炎、ループス腎炎(慢性糸球体腎炎)、全身性エリテマトーデス 免疫反応により、抗原・抗体に補体と呼ばれる成分が結合した免疫複合体が形成され、その複合体が付着した部位で炎症を引き起こす。反応はゆっくりだが長く続くことが多い。
㈿型 ツベルクリン型 接触皮膚炎、結核の空洞形成、橋本病、ベーチェット病、臓器移植後の拒絶反応や移植片対宿主病(GVHD)、ツベルクリン反応、薬物アレルギー、金属アレルギーなど 抗原と特異的に反応する特殊なT細胞が周囲の臓器に炎症を起こす。リンパ球が関与し、反応はゆっくり起こる。
㈸型 即時型 バセドウ病のみ 仕組みは㈼型と同じだが、自己の細胞に対する抗体と、細胞膜に存在する受容体とそれに対する自己抗体が反応して、その細胞の機能が異常を起こす。


アレルギー発症のしくみ(㈵型)

アレルギー発症のしくみ(㈵型)

アレルギー対策

アレルギー対策は、以下の3つに大別できます。
(1) 原因物質の除去 食物アレルギーの場合は除去食事法、ハウスダストがアレルゲンなら室内を清潔に保つなど、原因となるアレルゲンを除去する方法。
(2)抗原の侵入防止 花粉症用のマスクや、湿疹の場合はスキンケアなど、アレルゲンの侵入を防ぐ方法。
(3)アレルギー反応の抑制 アレルギー反応を断ち切るために薬(抗アレルギー剤)を利用する方法。

このページの先頭に戻る ▲




2.花粉症を予防する

花粉症とは

花粉症は、花粉をアレルゲンとするアレルギー性疾患の一種です。症状はかぜと似ていますが、発熱やのどの痛みはなく、花粉が鼻の粘膜に付着することで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりのひどい症状が現れます。また、目もかゆくなって充血し、涙が止まらなくなります。その他、集中力の低下、だるい、熱っぽい、イライラするなどの全身症状が現れることもあります。
花粉はスギ花粉が日本では代表的ですが、その他、さまざまな植物も原因になります。


主な花粉症原因物質の飛散カレンダー

主な花粉症原因物質の飛散カレンダー
花粉飛散の要注意日

○風が強く、晴れた日
○気温が高い日
○湿度が低く、乾燥した日
○雨上がりの翌日の晴れた日
○1日のなかでは昼前から午後3時頃までがピーク



花粉症対策

外出時は
  • 花粉との接触をなるべく少なくする工夫をする。
    専用のマスク、メガネは不可欠。
    メガネはプロテクター付きやゴーグルもある。
  • 髪はコンパクトにまとめ、花粉が髪に付かないように
    帽子を着用する。
  • 静電気が発生しやすい服は避ける。
    花粉が付着したときに払い落としやすい、なめらかな生地のものにする。
  • 花粉飛散量が多い日や、多い時間帯(昼前から午後3時くらいまで)の外出を控える。
  • 車に乗るときは、通風口を閉じる。
帰宅後は
  • 玄関前で、付着した花粉を払い落とす。
  • 手・顔・目・鼻を洗い、うがいをする。目は流水で瞬きをして洗うと効果的。
家にいるときは
  • 窓を開けっ放しにしない。換気は花粉飛散量が少ない夜間か早朝に。
  • 空気清浄機を活用する。
  • 室内の掃除はまめに行い、ソファやカーテンなども掃除機で花粉を吸い取る。仕上げは濡れ雑巾で拭き取る。
  • じゅうたん・カーペットはできれば敷かないようにする。
  • 洗濯物や布団を外に干すと、花粉が付着する。洗濯物は1枚1枚振ってから取り込む。
  • 布団は室外ではたき、花粉を室内に持ち込まないようにする。掃除機で吸い取ってもよい。
症状が出たら
ひどくならないうちに病院へいきましょう。鼻水やくしゃみ等がある場合は耳鼻咽喉科、目のかゆみは眼科で診てもらいましょう。その他、内科、小児科、アレルギー科でも受診できます。


花粉症の治療

花粉症はすぐに治るものではありません。日々のつらい症状を薬で少しでも楽にしながら、気長に治療していく心構えが必要です。

治療のいろいろ
薬物治療(抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬など)
内服薬 くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの原因となるヒスタミンを押さえる成分が入っていて、それぞれのつらい症状を和らげる。
点鼻薬 鼻水、鼻づまりを抑え、鼻の通りをよくする。
点眼薬 目のかゆみや充血を和らげる。
減感作療法(抗原特異的免疫療法)
原因となる抗原(花粉の種類)を突き止め、その花粉の成分を注射する。予防接種のようなもので、現在、唯一の根治が期待できる治療法といわれるが、効果は3〜4年待たなければ現れず、完治しない場合もある。現在も研究が進められている。


厚生労働省の花粉症対策

○アレルギー相談センターの設置(厚生労働省のホームページでも紹介しています)
 (mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/index-02.pdf
相談無料/受付時間:月〜金(祝休日を除く) 10:00〜16:30
TEL  03-3222-3508
FAX  03-3222-3438
メール allergy.soudan@jaanet.org
※看護師、専門医がお答えします。診療は行っていません。

このページの先頭に戻る ▲



ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります