最後の章では、新しい運用商品についてお話ししましょう。一つ目は、「イデコ」といいますが、女性の名前ではありません。正式には個人型確定拠出年金といって、自分で掛金の金額を決めて自分で掛金を拠出し、自分が選んだ運用商品で運用していくという、年金制度です。
これまでは加入できるのが自営業者などに限られていましたが、2017年1月から、企業年金を実施している企業に勤務している人や専業主婦、公務員を含め、基本的にすべての人が加入できるようになりました。このため、加入者数は2017年1月時の約33万人から、2018年4月現在の約89万人※1と大幅に増加を続けています。この時に、individual-type Defined Contribution pension planの英語表記の頭文字をとって、iDeCo(イデコ)という愛称で呼ばれることになったのです。なお、“i”には“私”という意味も込められています。
iDeCo(イデコ)のメリットは、次の3つの税制上の優遇措置です。
ただし、掛金には、本人の状況に応じた拠出限度額があります。下表のとおりですが、立場によっては、あまり高額の拠出はできないといえます。
また、基本的には、年金制度なので、次のような3つの給付があります。
このようにたいへん有利なiDeCo(イデコ)ですが、デメリットもあるので注意が必要です。一つは、原則60歳まで引き出すことができない(これは60歳までしか加入できないという意味でもあります)ことです。あくまで老後の生活資金づくりという趣旨です。ですから、税制上有利だからといって、生活費を切り詰めてまで掛金に回すという方法は適切ではありません。
二つ目は、資産運用の結果によっては元本を下回る可能性があることです。冒頭に述べたように、運用はあくまで自己判断に基づく自己責任です。三つ目は、加入中は所定の手数料がかかります。
なお、本稿の執筆中に、金融機関の窓口における規制が緩和になるという報道※6が入ってきました。これまでは、金融機関の職員が通常の業務とiDeCo(イデコ)の受付業務を兼務することが禁じられていましたが、これからはこれを可能にするというものです。加入を望む人にとっては、今後、金融機関で相談したり加入手続きをしたりする選択肢が広がることになります。
これまでは加入できるのが自営業者などに限られていましたが、2017年1月から、企業年金を実施している企業に勤務している人や専業主婦、公務員を含め、基本的にすべての人が加入できるようになりました。このため、加入者数は2017年1月時の約33万人から、2018年4月現在の約89万人※1と大幅に増加を続けています。この時に、individual-type Defined Contribution pension planの英語表記の頭文字をとって、iDeCo(イデコ)という愛称で呼ばれることになったのです。なお、“i”には“私”という意味も込められています。
iDeCo(イデコ)のメリットは、次の3つの税制上の優遇措置です。
掛金が全額所得控除されます。例えば、毎月2万円ずつ拠出した場合、税率20%とすると、年間4万8千円の節税効果になります。 |
運用益も非課税で再投資されます。通常、金融商品の運用益には課税(源泉分離課税20.315%)されますが、iDeCo(イデコ)の運用益は非課税です。※2 |
受け取るときも税制優遇措置があります。一時金は「退職所得控除」、年金は「公的年金等控除」という大きな控除が受けられます。 |
ただし、掛金には、本人の状況に応じた拠出限度額があります。下表のとおりですが、立場によっては、あまり高額の拠出はできないといえます。
区分 | 拠出限度額 |
自営業者等 | 年額81.6万円(月額6.8万円)※3 |
専業主婦等 | 年額27.6万円(月額2.3万円) |
企業年金等※4に加入していない人 | 年額27.6万円(月額2.3万円) |
企業年金等に加入している人のうち、企業型確定拠出年金にのみ加入している人 | 年額24.0万円(月額2.0万円) |
企業年金等に加入している人のうち、企業型確定拠出年金にのみ加入している人以外の人 | 年額14.4万円(月額1.2万円) |
公務員、私学共済加入者 | 年額14.4万円(月額1.2万円) |
また、基本的には、年金制度なので、次のような3つの給付があります。
老齢給付金 | 5年以上20年以内の有期年金(終身年金を取り扱っている運営管理機関※5もあります)・年金の全部または一部を一時金で受け取ることも可 |
傷害給付金 | |
死亡一時金 | 一時金 |
このようにたいへん有利なiDeCo(イデコ)ですが、デメリットもあるので注意が必要です。一つは、原則60歳まで引き出すことができない(これは60歳までしか加入できないという意味でもあります)ことです。あくまで老後の生活資金づくりという趣旨です。ですから、税制上有利だからといって、生活費を切り詰めてまで掛金に回すという方法は適切ではありません。
二つ目は、資産運用の結果によっては元本を下回る可能性があることです。冒頭に述べたように、運用はあくまで自己判断に基づく自己責任です。三つ目は、加入中は所定の手数料がかかります。
なお、本稿の執筆中に、金融機関の窓口における規制が緩和になるという報道※6が入ってきました。これまでは、金融機関の職員が通常の業務とiDeCo(イデコ)の受付業務を兼務することが禁じられていましたが、これからはこれを可能にするというものです。加入を望む人にとっては、今後、金融機関で相談したり加入手続きをしたりする選択肢が広がることになります。
※1 国民年金基金連合会のHPより
※2 積立金には別途1.173%の特別法人税がかかりますが、現在まで課税が凍結されています。
※3 国民年金基金との合算枠です。
※4 企業年金等とは、企業型確定拠出年金、確定給付企業年金などです。なお、企業型確定拠出年金を実施している企業では、規約でiDeCo(イデコ)への加入を認めている場合のみ加入が可能です。
※5 確定拠出年金制度を運営、管理する専門機関です。
※6 2018年4月20日「社会保障審議会年金部会」資料より