前回の庭、即ち土の上に対して、今回はベランダで出来るガーデニングを考えて見ます。マンションに限らず、戸建てでは2階のベランダなども対象です。限られたスペースを有効に使ってガーデニングを楽しみましょう。
ベランダやバルコニーは床の材質が決められていますが、コンクリートやアルミの床は照り返しが強く、見た目も良くありません。そこで、床材を敷いてカバーすると雰囲気が変わってエコ効果もあります。敷き並べる材料は何種類かあるので紹介します。
ただし、塩ビシートや塗装など、工事が必要なものや復元が難しいものは管理組合の許可が必要になりますので、必ず確認をして届出を提出しましょう。
人工芝
人工芝は野球場などに使われていますが、DIY店などで購入できます。コンクリートの床に比べると照り返しが格段に少なくなります。
タイル
タイルやレンガを直接敷くのも良いですが、タイルでできた30cm角の連結式デッキタイルはつなげることができて手軽です。バルコニーの大きさに敷きつめれば雰囲気も変わります。また、床との間に隙間が出来るので、コンクリートの床が暑くなるのを防いでくれます。
本物のタイルでなくてプラスチックの偽石状の物は安価で手に入りますが、耐侯性はありません。
ウッドデッキ
腐りにくい木材をスノコ状に敷くと雰囲気が良くなります。既製品でスノコ状の物もDIY店などで手に入ります。風呂用のスノコもサイズが合えば使えます。デッキ材用の塗装をすれば自分の好みの色に仕上り、長持ちします。
塩ビシート
外部用の塩ビシート(ポリ塩化ビニルシート)をバルコニーの床に張ることもデザイン上有効です。耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れて、最近ではマンションの共用廊下に貼られていることが多いので見かけたことがあるでしょう。
塗装
外部用の床塗装をするだけでも、雰囲気は変わります。ウレタン系の防水材を塗る場合は濡れて滑りやすくなるので、塗って乾かないうちに硅砂を蒔くとノンスリップ効果があります。
材質は樹脂系、焼き物系、セメント系、がありますが、重さが違うので状況に合わせて選択してください。バルコニー(出窓)がアルミ製の場合は強度が少ないので、軽い樹脂系や、小さな焼き物系が良いでしょう。
樹脂系
プラスチックのプランターは形も大きさもさまざまな種類が売られています。ただし、紫外線で劣化するので10年はもたないと思ってください。表面に塗装してるものは直接紫外線を受けないので比較的長持ちします。
焼き物系
素焼きの鉢はレンガ色の物が一般的ですが、瓦のような「菊鉢」などもあります。薬掛けした鉢もありますが、側面から水分が抜けないので、夏の日照り時には土の温度が上がりすぎないよう日よけなど必要です。
鉢の大きさは5号がよく使われますが、直径が15cmのものです。1号=3cmです。
セメント系
大型のプランターなどにはセメント系が多いのですが、土を入れるとかなりの重量になりますので、注意が必要です。アルミのバルコニーでは避けたほうが良いでしょう。コンクリートのU字溝を並べて、側面をセメントで塞ぐと安価なプランターが出来上がりますが、こちらも相当な重量になるので要注意です。
繊維系
麻の袋や、建築現場で使う繊維を編んだゴミ袋なども水はけが良いのでプランター代わりになります。ゴミ袋は木製ラチスなどで隠すと雰囲気も良いでしょう。
野菜・果物を植える
■種から
種から簡単に育つ野菜は、赤カブ(20日大根)、小松菜、枝豆、ササゲ、などがあります。収穫も早く、プランターや鉢で育てることができます。
ブルーベリーも鉢植えでも実をつけます。
■苗木から
苗木で売っているものには、トマトやナス、キヌサヤなどがあります。日当たり、水遣りが良ければよく育ち、花も楽しめます。イチゴなども苗木で購入して楽しむことが出来ます。パセリや香草などの苗木も多く出回っています。夏期に向けて、エコの実践と収穫の楽しみを兼ねたゴーヤは最近の流行です。ゴーヤはプランターなどでも育てることができます。
ペットと同じで、植物も長期間留守にするときには配慮が必要です。特にベランダの場合は枯れてしまうことが心配です。ペットの場合はホテルなどがありますが、鉢植えの場合は自分で対策を考えなければなりません。そんなとき、自動散水設備があります。1日の内2回ほど時間を決めれば自動的に散水されるので便利です。
花を植える
■種から
花は、朝顔、日日草、松葉ボタン、など種類は豊富ですがスィートピーなどがお勧めです。ある程度華やかさがあるほうがベランダが明るくなるでしょう。
朝顔は春が蒔き時ですが、同じ色ばかりでつまらない、と何種類か買うと余ってしまいます。翌年くらいなら大丈夫でしょうが、何年もとっておけないので無駄になってしまいます。さまざまな色を楽しみたいという人は、苗木から植えることをお勧めします。
■苗木から
苗木の花は咲き始めたものが主流なので、わかりやすいでしょう。これから咲くものは、ラベルに写真が付いているので花の色や大きさが分かります。
草を植える
■種から
花の咲かない草は、あまり種類がないのですが、芝も種から可能です。
■苗木から
苗木の草は芝生や玉龍などの他にアイビーやオリズルランなどの観葉植物があります。室内に置くものが多いのですが、鉢植えの木の下草としても良いでしょう。
木を植える
■種から
木の中で、種で売っているものはあまりありませんが、銀杏などは秋に出始めた頃、食べる分の他にとって置き、植えると春になって芽が出ます。ベランダでイチョウの木が大きくなっても大変ですが、盆栽のように鉢の大きさに合わせて育つものです。
他には、もみじや松なども自然界では種で増えます。市販されてはいませんが、知り合いのお宅の松ぼっくり等を頂いて来て蒔いてみるのも楽しいでしょう。発芽率は市販の物に比べて格段に低いのですが、芽が出るのを期待することも楽しみです。
プランターなどでも、鳥が種をついばみに来てそのついでに糞をしていきます。その糞の中に消化されない赤芽などの木の種があったりすると、そこから発芽して、知らない木が生えることがあります。多くはありがたくない木ですが、自然の営みを感じることができます。
■苗木から
木の種類は、鉢の大きさにより決まります。レモンや金柑などの柑橘類は花が咲いて黄色い実がなるのが楽しみです。20から30号くらいの鉢があれば実をつけることが出来ます。
■挿し木から
バラやブルーベリー等は挿し木で増やすことができます。乾燥しないように赤玉土などの保水性の良い土に挿し、水遣りをします。また、直射日光を避けあまり風の当たらない所が良いでしょう。
水盤に水生植物を入れてベランダに置くと涼しげです。睡蓮は水盤の場合は大きくならない「姫睡蓮」が良いと思います。低い階だと蚊が発生したりするのでメダカなどを入れておくと良いでしょう。