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【エコリフォームを考える】 エコリフォームの実際

熱源や機器の選び方については前回ご紹介しましたが、実際にリフォームをする場合は、それらによってつくられたエネルギーを有効に使えることがポイントとなります。言い換えれば、器としての住まいは、熱を逃がさないような工夫が必要になります。断熱性能を上げるようにリフォームすれば、夏の熱気や冬の冷気を遮り、より効率的にエネルギーを使えることになります。

エコリフォームのポイントは断熱・気密性・換気

手っ取り早い断熱は窓を最小限にする、またはつくらないことですが、 窓は心身の健康のためには必要なものですし、建築基準法でも、 すべての窓の合計面積が居室床面積の1/7以上あることを規定しています。 そこで、断熱性能を上げるリフォームが必要になるのですが、 いくら断熱をしてもサッシや玄関ドアから隙間風が入ってきては何にもなりません。 つまり、気密性が重要になります。 ところが、気密性を上げると密閉状態となり、息苦しくなります。 ですから、3番目のポイントとして換気が重要になります。 断熱・気密性・換気のバランスをとることがエコリフォームには欠かせません。

エコリフォーム

1.断熱で外気の影響をシャット
2.気密性で熱を確保
3.必ず換気も

1.断熱で外気の影響をシャット
断熱とは、夏の暑さや冬の寒さなど外気を遮断して、快適でかつ熱効率のよい住まいをつくることです。

断熱の工法のいろいろ

種類 概要 イメージ
①外断熱
(外張り断熱)
外壁の外側に断熱材を施工します。窓やドア以外すっぽり断熱材で覆われることになります。
※在来工法では、柱や間柱のところに断熱材は入りません。リフォームで外断熱にすることも可能ですが、屋根の葺き替えまで行うと大がかりな工事となります。

②内断熱
(充填断熱)
柱と梁で構成する在来工法では一般的な断熱工法で、外壁の内側に断熱材を施工します。 リフォームの場合は、内壁の石膏ボード(プラスターボード)を剥がして断熱材を入れます。
パネル構成の枠組み工法(ツーバイフォー)では、内壁がベニヤ板の場合でもあり、リフォームではその内側に断熱材を付け加えるので、多少部屋が狭くなります。

③通気工法 ①または②と併用する工法で、夏の日差し(輻射熱)を一番外側の外壁材で遮り、その熱を通気させることにより、内部への熱の伝導を防ぎます。
特に、屋根は太陽の熱を直接浴びますので、最上部(棟)で換気すると効果があります(いわば、建物に日傘を差すような効果があります)。
 

断熱材の種類

プラスチック系 ポリスチレンフォーム 発砲スチロールと言われているもので、ビーズ状の吹込み用と板状のものがある。比較的安価で、弾力性があり衝撃吸収性にも優れている。
硬質ウレタンフォーム ポリウレタン樹脂でポリスチレンより断熱性能はよい。外断熱ではこれがよく使われる。
高発泡ポリエチレン ポリエチレン樹脂に発泡剤を混ぜた断熱材。軟質なので加工しやすく、防水・防湿性にも優れている。
フェノールフォーム 優れた耐熱性と汎用性を併せ持つ。特に防火性に優れ、炎を当てても炭化するだけで煙や有毒ガスの発生がほとんどなく、不燃・準不燃材料の認定を得ている。断熱性能も高く、透湿係数は低い。
鉱物系 グラスウール 回収された空き瓶や工場の廃棄ガラスなどをリサイクルし、ガラスを繊維状にしたもの。マットやボードなど。安く、燃えにくく、シロアリがつきにくいことが利点。
ロックウール 玄武岩などを繊維状にしたもの。軽くて、耐久性や耐火性、吸音性がある。性能や価格はグラスウールとほぼ同等。
発泡ガラス ガラスを炭素で発泡させたもの。輸入品のみで高価(高性能グラスウールの数十倍)。難燃性・耐水性・耐薬品性に優れ、シロアリにも強いため、地下室や基礎の外断熱に適している。燃焼ガスの毒性が極めて少ない。
自然素材系 セルロースファイバー 古新聞を粉砕し綿状にしたもので柱、間柱とボードで囲まれたところに吹込みして、充填する。吸放湿がよいので気密シートがなくても結露しない。吸音性にも優れている。
木質繊維ボード 木の廃材などを利用して繊維状にしてボードに成型したもの。 吸放湿性が良い。価格は一般的なグラスウールの3倍程度。

リフォームのときチェック

□断熱材は材質によりさまざま種類があるので、特徴をよくとらえてから選ぶ。

□断熱材が隙間なく充填されていること。
 内側の石膏ボードを外してみると窓廻りや天井際に隙間が空いていることも!

□使用している照明器具が使えなくなることも。
 埋め込み式の照明器具の場合、断熱施工に対応できず撤去することもあります。
 最近では断熱施工に対応する照明器具も出回っていますので、チェックしておきましょう。

こんな断熱・遮熱方法も

○断熱塗料
夏の暑い日には鉄板には触れませんが、断熱塗料を塗ると平気で触れるくらいになります。 原理は細かな断熱の粒子が入っていて断熱し、 さらに太陽からの熱(光)を反射するからです。 建物の外壁屋根などに塗ると効果があります。

○ガラス面への反射フィルム貼り
輻射熱を防ぐためにガラス面に反射フィルムを貼る方法があります。 防犯上もある程度は効果があります(防犯フィルムとは別物)。 硝子に衝突した場合も破片が飛び散りにくいので安全です。 ただし、網入り硝子には熱割れするので貼れません。

○羽可動式シャッター
普通のシャッターは閉めると真っ暗になりますが、ブラインドのように羽が可動式のものがあります。 これですと日差しを遮ってある程度は光も入ります。夜、羽を上げておいても防犯上有効です。

○可動式テント(オーニング)
風の強くないときは、窓の外にテントを貼ると日差しを遮って効果があります。 また、バルコニーなどの床面を日陰にすると照り返しを防いで楽です。 強風でセンサーが働いて自動的に閉じる電動式のものもあります。
 

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2.気密性で熱を確保

気密性の表し方

気密性は、サッシまたはドアの隙間から漏れる空気の量で表します(A-1〜A-4)。これはアルミサッシ1�に対する1時間あたりの通気量をもとにJISが規定したものです。
気密性の表し方 等級 基準※1 六畳の部屋の空気がすべて入れ替わるのにかかる時間
A-1 120m³/h 8分
A-2 80m³/h 32分
A-3 8m³/h 2時間
A-4 6m³/h 8時間
※1 圧力差10Pa(パスカル)=風速4m/s(絶えず木の葉や小枝が揺れ動くほどの風)のときにどれくら いの空気が漏れるかを測定しています。
*最近ではA-3、A-4が主流でA-1とA-2はほとんど出ていません。
窓の種類
窓の種類

気密性を上げるリフォーム(アルミサッシ)

○かぶせ工法
既存のサッシ枠に被せて新しいサッシを取り付けるので手軽に交換できます。ただし、窓がひと回り小さくなるので、基準法の1/7以上をクリアできるかチェックする必要があります。

○撤去工法
既存のサッシを枠ごと撤去して、入れ替える工法です。外壁も外すか撤去して補修する必要があります。

○ガラス取替え工法
前々回で紹介した、ガラスだけ二重ガラスに交換する工法です。断熱サッシは枠も断熱されていますが、この工法では枠の部分で結露します。

※マンションの場合、サッシはマンション住人すべての共有物です。 法により、個人で他の共有者の同意なく勝手に交換することはできません。

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3.必ず換気も

換気の種類

自然換気 換気口、窓の開閉等による。
機械換気
(建築基準法上の換気)
第1種換気 給排気共に強制的に行うもので、熱交換型タイプがこれにあたります。
第2種換気 給気を強制で行い、排気は排気口から送り出されます。 住宅用換気ではめずらしいケースです。精密機器を扱う部屋や病院等で多く行われます。
第3種換気 排気を強制で行い、給気は給気口から取り入れます。 住宅用換気システムでは一般的にこのタイプになります。

換気の種類
換気の種類
◎気密性を上げた場合、換気が必要となりますが、エコリフォームでは第1種の熱交換型の換気扇をお勧めします。
 ⇒第1種換気は吸気口と排気口の両方を持っています。
 冬:排気の熱で暖かい空気にして(熱交換)、吸気口より室内に取り込むので、冷たい風を感じずに換気できる。
 夏:冷房時に、熱気を入れずに換気する(より省エネルギー)。
まだある、こんなエコリフォーム
◆屋上緑化
太陽が一番当たる屋根、ここを緑化すると遮熱効果があり、冬も冷え込むことがありません。 ただし、木造で後から緑化するのは、重量や防水的に難しいので、鉄骨や、コンクリートの場合に限られます。 それでも、重量の問題はあるので、軽量の土壌を選んで、荷重の範囲内で施工する必要があります。

◆壁面緑化
この方法は、建物にあまり負担をかけないので、さまざま利用ができます。 ネットを使って、朝顔で夏の日差しを遮るのは手軽な例ですが、 朝顔の代わりにベンジャミンやアイビーを使えば、冬でも楽しめて地球の温室効果も減らせます。 エアコン室外機に絡ませないよう注意しましょう。

◆ブロック塀を生垣に
夏の暑い日でも、ブロック塀を生垣に替えると、通気性がよくなり涼しく過ごすことができます。 また、地震で倒れる心配もないので安心です。

◆パッシブソーラーシステム
太陽や風などの自然エネルギーを建築に取り入れます(例:太陽のエネルギーで床暖房)。 新築のときに採用するのが一般的ですが、リフォームでも対応できます (工事は外壁、床下を含む大掛かりな工事になります)。


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