「賠償責任」とは何でしょうか?この言葉を聞いて、『これは大事な保険のこと』と思う人と、『まったく知らなかった』という人と両極端に分かれるのではないでしょうか。
最近では賠償責任をめぐる事件がニュースでクローズアップされることもありますが、是非身近な問題として感じていただくためにも、今回取り上げてみたいと思います。
ファイナンシャルプランナー 星野 諒
賠償責任とは個人の行動や企業の業務や施設が原因となる偶然な事故によって、第三者に対して賠償を負担しなければいけない法律上の責任をいいます。
事故といっても、特殊な事故ばかりではありません。賠償責任の対象となるのは、意外と日常生活の中で起こる、ちょっとした事故が多いのです。
賠償を求められる身近な事故の例
■例1:「自転車で走行中の事故」
自転車で走行中、出会い頭に通行人にケガをさせてしまった。
■例2:「買い物中の事故」
デパートで買い物中に陳列してあった商品を壊してしまった。
■例3: 「飼い犬の事故」
散歩中、飼い犬が他人に噛み付いてケガをさせてしまった。
■例4:「子どもが遊んでいるときの事故」
未成年の子どもがマンションの敷地内で遊んでいるときに停めてあった車を傷つけてしまった。
■例5:「マンションで水害事故」
洗濯機のホースが外れてしまい、下の階の部屋を水浸しにしてしまった。
■例6:「マンションのベランダからの落下事故」
ベランダから植木鉢が落ちて通行人に当たってケガを負わせてしまった。
賠償を求められる企業の事故の例
■例1:「映画館での火災事故」
映画館で火災が起き、スタッフの誘導にミスがあり観客にケガを負わせてしまった。
■例2:「工事現場の落下事故」
工事現場で、材料が落下し歩行者の頭にケガを負わせてしまった。
■例3:「飲食店での給仕ミス」
飲食店で熱いスープを客のうえにこぼしてしまい、火傷を負わせてしまった。
■例4:「弁当屋で食中毒」
弁当屋の弁当が原因で、購入客に食中毒を起こさせてしまった。
賠償責任により被害者に支払わなければならない額が大きくなると、加害者となった人の損失が大きく生活にダメージを与えるリスクとなりかねません。何より、被害者に対する補償がスムーズに行われない恐れがあります。
そこで生まれたのが「賠償責任保険」です。賠償責任保険は損害保険の一つで、保険の加入者(被保険者)が第三者に損害賠償をしなければならないときに、被保険者が被る損害を補てんします。
火災保険や傷害保険などの他の損害保険と異なるのは、特定の物に対する損害ではなく、被保険者の総財産の損害が対象となっていることと、「被害者」という第三者の存在を前提としていることです。
賠償責任保険には個人向け、一般企業向け、特定業種向け、専門職人向けがあり、さらに対人・対物があります。保険会社によりさまざまな事故を想定した保険が準備されています。
■表 賠償責任保険の種類
種類 | 被保険者 | 商品例 |
個人向け賠償責任保険 | 一般個人 |
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一般企業向け賠償責任保険 | 一般企業 |
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特定業種向け賠償責任保険 | 特定業者 (自動車管理会社、旅館、LPガス販売、旅行業者、情報サービス会社など) |
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専門職業人賠償責任保険 | 医師や公認会計士など専門職業者 |
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瑕疵保証責任保険※ | 主に建築請負会社、住宅販売会社など | — |