自営業のAさんは国民健康保険、会社勤めのBさんは健康保険、公務員のCさんは共済組合・・・公的医療保険は保険者によって種類(制度)が異なります。ご自分の加入している公的医療保険をあらためて認識し、よく知り、適正に利用しましょう。
公的医療保険は加入者の健康と安定した暮らしのため、病気やけがなど医療を必要とするときに医療費の一部を自己負担して必要な医療サービスを受けられるよう、運営されています。また、出産や、病気やけがで会社を休んで給料がもらえないときや、葬儀のときなど、必要に応じて現金給付を行います。
【病院等で治療を受けた場合の処理の流れ】
一般的に会社に勤めている人の公的医療保険は「健康保険」と呼ばれます。
制 度 | 保険者 | 被保険者 | |||
現役世代のための 医療保険制度 |
健康保険 | 一般 | 全国健康保険協会管掌健康保険 (以下、協会けんぽ) | 全国健康保険協会 | 健康保険の適用事業所(主に中小企業)で働く人※1 |
健康保険組合管掌健康保険 (以下、組合けんぽ) | 各健康保険組合 | 健康保険の適用事業所(単独でおおむね700人以上、同業種の会社または一定地域の異業種の会社が集まって常時3,000人以上の従業員がいる企業)で働く人※1 | |||
臨時労働者(日々雇い入れられる人等)のための健康保険 | 全国健康保険協会 | 健康保険の適用事業所や失業対策事業、公共事業を行う事業所で働く①日々雇い入れられる人、②2か月以内の期間限定で使用される人、③4か月以内の季節的業務に使用される人、④6か月以内の臨時的事業に使用される人(法第3条第2項の該当者) | |||
船員保険 | 全国健康保険協会 | 船員として船舶所有者に雇用される人 | |||
共済組合 | 各共済組合等 | 国家公務員、地方公務員、私学の教職員 | |||
国民健康保険 | 各市区町村 | 上記以外の一般の人すべて | |||
退職してから任意で加入 退職者医療制度※2 |
国民健康保険 | 各市区町村 | 定年退職者等で厚生年金など被用者年金の老齢年金給付を受けられる人。 ただし、被用者年金の加入期間が合算して20年以上ある、または40歳以上の加入期間が合算して10年ある、老齢(退職)給付を受けられる65歳未満の人に限る。 | ||
75歳以上は全員加入 高齢者医療制度 |
後期高齢者医療 | 後期高齢者医療広域連合 (都道府県、市区町村が設置する特別地方公共団体) | 75歳以上の高齢者すべて (寝たきりの人は65歳以上) |
※1 パートタイム労働者の場合は、常用的使用関係にあるかどうかで判断され、所定労働時間と所定労働日数のどちらも通常の労働者のおおむね4分の3以上である場合に被保険者として認められます。
※2 退職者医療は、後期高齢者医療の創設(平成20年4月)に伴い廃止されましたが、平成27年3月までは経過措置として、条件を満たす人は退職者医療を受けることができます。
※2 退職者医療は、後期高齢者医療の創設(平成20年4月)に伴い廃止されましたが、平成27年3月までは経過措置として、条件を満たす人は退職者医療を受けることができます。
資格の取得と喪失 ※健康保険と国民健康保険の場合
取 得 | 喪 失 | |
健康保険 |
|
|
国民健康保険 |
|
|
被保険者証について
○公的医療保険の被保険者の資格を取得すると被保険者証(70歳以上75歳未満の人は高齢受給者証)が保険者より交付されます。
○公的医療保険で医療を受けるときには必ず窓口に提出します(提出がない場合は、かかった費用の全額を支払わなければならないこともあります)。
○被保険者証をなくしたり、き損してしまったとき以外にも、氏名がかわったり被扶養者に異動があったときなどは、必要書類に被保険者証を添えて保険者に届出ましょう(事業主を経由)。
○公的医療保険で医療を受けるときには必ず窓口に提出します(提出がない場合は、かかった費用の全額を支払わなければならないこともあります)。
○被保険者証をなくしたり、き損してしまったとき以外にも、氏名がかわったり被扶養者に異動があったときなどは、必要書類に被保険者証を添えて保険者に届出ましょう(事業主を経由)。
被扶養者について
健康保険では、被保険者本人の他に、被保険者に扶養されている家族(75歳未満)も同じ健康保険を受けることができます。 被扶養者には2種類あります。
① 直系尊属、配偶者、子、孫、弟妹で、主として被保険者の収入によって生計を維持している人(同居していなくてもよい)。
② ①以外の三親等内の親族(内縁でも可)で、被保険者と同居しており、主として被保険者の収入により生計を維持している人
健康保険では、被扶養者がこの条件を満たしているか、審査のうえ認定を行います。
※法第3条第2項に該当する臨時労働者等の被扶養者も同様に判定されます。
② ①以外の三親等内の親族(内縁でも可)で、被保険者と同居しており、主として被保険者の収入により生計を維持している人
健康保険では、被扶養者がこの条件を満たしているか、審査のうえ認定を行います。
※法第3条第2項に該当する臨時労働者等の被扶養者も同様に判定されます。
「生計維持」とは?
「生計維持」とは、主に被保険者の収入によって生活している状態をいいますが、次のような基準により認定されます。
◆被保険者と同居している場合
被扶養者となる人は、年収130万円未満で、かつ被保険者の年収の半分未満が条件となります。
◆被保険者と別居している場合
被扶養となる人は、年収130万円未満で、かつ被保険者からの援助額より少ないことが条件となります。
※60歳以上75歳未満の人の上記年収は「180万円未満」となります。
※世帯ごとに加入する国民健康保険は、「同一世帯・同一生計」が条件となります。
◆被保険者と同居している場合
被扶養者となる人は、年収130万円未満で、かつ被保険者の年収の半分未満が条件となります。
◆被保険者と別居している場合
被扶養となる人は、年収130万円未満で、かつ被保険者からの援助額より少ないことが条件となります。
※60歳以上75歳未満の人の上記年収は「180万円未満」となります。
※世帯ごとに加入する国民健康保険は、「同一世帯・同一生計」が条件となります。
健康保険の保険料は事業主と被保険者が折半
健康保険の保険料は毎月の給与と賞与から差し引かれますが、この保険料は平均標準報酬額に保険料率を乗じて計算された額を事業主と被保険者が折半します。保険料率は、協会けんぽの場合は各都道府県ごとに、組合けんぽの場合は各健康保険組合ごとに設定されています。※40歳以上65歳未満の被保険者の人は介護保険の第2号被保険者として、健康保険料に介護保険料を合算して納めます。
国民健康保険の保険料は市区町村ごとに保険料率を設定
国民健康保険の保険料は、市区町村ごとに決められています。加入世帯ごとに所得割、資産割、被保険者均等割り、世帯別均等割りを組み合わせて計算された額が世帯ごとに賦課されます。
退職後の医療はどうやって受ける?
通常、会社を退職すると、退職日の翌日に健康保険等の資格を喪失します。
そこで、次の3つの中から自分に最適と思われるものを選択して手続きを行います。
①任意継続被保険者になり、退職前の会社の健康保険に継続して加入する(2年間限定)。
※被保険者期間が2か月以上あることが必要です。
※保険料は全額自己負担です(介護保険料を合算)。
②新たに国民健康保険に加入する。
③健康保険に加入している家族の被扶養者となる。
なお、退職者医療制度は平成27年3月までの65歳未満退職者については継続されますが、それ以後は廃止となっています。
①任意継続被保険者になり、退職前の会社の健康保険に継続して加入する(2年間限定)。
※被保険者期間が2か月以上あることが必要です。
※保険料は全額自己負担です(介護保険料を合算)。
②新たに国民健康保険に加入する。
③健康保険に加入している家族の被扶養者となる。
なお、退職者医療制度は平成27年3月までの65歳未満退職者については継続されますが、それ以後は廃止となっています。